梅毒の治療は主にペニシリンなどの複数の抗生物質を2~4週間服用する。
「世界各国の梅毒の標準治療はペニシリンの臀部への筋肉注射ですが、日本は歯の治療でペニシリン注射を行なった際、アナフィラキシーショックで患者が死亡する事故が起こり、1980年代に販売中止となりました。しかし、今年1月から、梅毒に対するペニシリン注射が保険承認され、しかも1度注射しただけで治療が終わります」(尾上院長)
承認された持続性ペニシリン製剤ステルイズRは溶解性が低く、筋注部位から徐々に薬剤を放出するので、血中濃度を長期間保てる。
副作用は皮疹、蕁麻疹、発熱などがあり、重篤なものでは残念ながらアナフィラキシーショックも。それでも妊婦が感染すると胎児に影響し、流産や早産だけでなく、先天性梅毒の危険性があるため早期に治療を行なうべきだ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年9月16・23日号
尾上泰彦・プライベートケアクリニック東京院長