安倍晋三・元首相の国葬について多くの国民から反発の声があがっている。この問題について元参院議員の野末陳平氏(90)に意見を聞いた。
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僕は安倍さんの葬儀をすること自体に反対しているわけじゃない。
だって外国の要人も来るだろうし、弔問外交もあるでしょう。あまりみっともない葬儀をするのでは格好がつかない。あれだけ世界的に名が売れた安倍さんですからね。だけど、「国葬」にすることには反対です。
外交上、恥をかかない程度のおもてなしができればいいのだから、「自民党葬」で問題ないはずです。何より許しがたいのは国葬の費用ですよ。
最初は2億5000万円と言っていたのに、結局は警備や接遇費で16億円もかかると言い出した。それでも収まるとは思えないし、少なくとも20億円は超えるでしょう。“後出しジャンケン”をして、「こんなにお金がかかってしまいました」と巨額の税金を使うことに、国民は納得しません。
外国の要人が参列する葬儀にある程度のお金がかかるのは仕方ないけど、国民の負担にするのは絶対によくない。それに国葬をするには国民の同意が必要だけど、今の段階で国民の同意があるとは言い難い。国民が支持しない国葬をやっても意味がありませんよ。
閣議決定だけで突き進んだことも国民の反発を招いたと思う。安倍さんが暗殺されたショックで気が動転したであろうことは岸田さんにも同情するけど、もうちょっと時間を置いて事件の背景や問題点を洗い出してから決めればよかった。
それなのに岸田さんがいち早く「国葬ありき」で走り出したことは評価できません。国民も最初は国葬に賛否両論だったけど、時間が経つにつれて反対が多くなった。落ち着いて考えてみると、やっぱり16億円は多すぎると気づいたのでしょう。
国民が支持しない国葬の何が問題かと言えば、国民の弔いの気持ちが得られないことです。
これは故人にとってマイナスになる。ちゃんと支持を得られるやり方でないと、安倍さんの弔いにならない。国葬にこだわって多額の税金を使うことは、当の安倍さんのためにもならないんです。
繰り返しますが、2億円程度ならまだしも何十億円もかかるなら自民党の葬儀でやるべきです。民意を得られないでしょう。僕も国民のひとりとして、税金のかけすぎはよくないと思います。
※週刊ポスト2022年9月30日号