不安、心情、体の状態を書き出し、記録しておくことで、自分を客観視できるという
彼女自身も闘病中、家にいるときはそれまで通り、家事をこなし、家族と過ごした。
「がんになってつくづく感じるのは、普通でいることのありがたさ。私自身、治療中、“乳がんなんだ”と頭の片隅では考えつつも、ふだんの生活では普通であり続けるように努めました。そうしていたら、少しずつ前を向けるようになれたんです」
それでも治療中は、痛み、先の見えない不安に押しつぶされそうになることもあった。
「そんなときはいま抱えている不安や苦しみを紙に箇条書きにして、先生に見せていました。あらかじめ話しておきたいことを書いておくと、スムーズに伝えられ、気持ちも落ち着くんです。
また、私はずっと10年日記をつけているんですが、日々感じたつらいことや不便だったことなどを包み隠さずに書いています。後で読み返すと自分でも忘れていたようなことを思い出すことがあるんです。日記でなくてもいいので、思ったことを紙に書き出すことは気持ちを整理するためにも大切なこと。もしも何か、不安なことがあったら、実践してみることをおすすめします」
●がん闘病の軌跡
2011年1月 人間ドックを受診。右胸に8mmの乳がんが判明。
2011年5月 乳房温存手術を受け、がんを摘出。
2011年6月 30日間にわたる放射線治療を開始。放射線治療が終わった翌日からホルモン療法が始まる。
2012年8月 再発。
2012年9月 患部切除手術を受ける。3か月に1度の定期検診を受けながら、仕事を続ける。
2013年11月 2度目の再発。
2013年12月 乳房全摘同時再建術。
2015年10月 シリコン・インプラント挿入手術を行う。5度の手術を経て、乳がんを公表する。
2022年 現在も薬物治療を続けている。
【プロフィール】
生稲晃子さん/1968年東京都生まれ。1986年芸能界デビュー。今年7月、参議院議員に当選。著書に『右胸にありがとう そして さようなら 5度の手術と乳房再建1800日』(光文社)がある。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/オモチャ
※女性セブン2022年10月20日号