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生稲晃子参院議員 がんになってつくづく感じた「普通でいることのありがたさ」

努めて普通でいること、苦しいことは紙に書き出して

努めて普通でいること、苦しいことは紙に書き出して

 今年7月に参議院選挙に出馬し当選した生稲晃子さん(54才)は、2度のがんの再発と5度の手術を受けた。最初のがんが判明したのは、2011年だった。

「それまでも自治体の検診は受けていたんですが、2010年は仕事がとても忙しくて、その年は受けていなかったんです。そんなとき、友人でもある医師から、『忙しくても検診は受けなきゃだめだよ』と言われて、2011年に先生が勤める病院で検査を受けることにしました。

 親族で乳がんにかかった人もいないですし、私自身もそれまで病気をしたことがなく、お酒もたばこもやらないので、がんとは無縁と思っていました」(生稲さん・以下同)

 ところが、検査で右側の乳房に8mm程度の腫瘍が見つかり、ステージIと診断された。

「ごく初期だということもあり、がんであることは家族と所属事務所の社長、マネジャー、そして、そのとき出演していた健康番組のプロデューサーのみに伝え、あとの人には言わないことにしました。

 乳房温存手術をしてすぐに仕事にも復帰しましたし、再発防止のために、治療を受けていたので、これで終わりと思っていたんです」

 ところが翌年再発。前回と同様に初期の腫瘍で部分切除をしたが、2013年に再再発してしまう。

「先生から再再発していると告げられたときは、さすがに死を感じました。私に何かあったら娘はどうなるんだろう、とまず思いました。当時、娘はまだ7才。夫はもちろん、娘のことを思うと涙があふれ、初めて先生の前で泣きました」

 同年12月、右側の乳房の全摘同時再建術を受け、2015年10月にシリコン・インプラント挿入手術を行い、その翌月に乳がんであったことを公表した。

「公表してほっとしました。がんであることを隠して仕事をしているのは、後ろめたい気持ちがあって、苦しい思いをしていました。夫や娘たちに八つ当たりしたこともしばしば。でも、2人ともそんな私をちゃんと受け入れてくれたんです。

“こんな私でも家族は必要としてくれているんだな”と思うと、気持ちが前向きになりました」

 そしてもう1つ大きかったのは、治療中であっても仕事を続けていたことだ。

「人間、自分を必要としてくれていると感じると、何よりも生きる力が出てくるんですね。誰かから必要とされることが、何よりの薬だと思います。がん患者のご家族からも、『私たちは何をしたらいいですか?』と相談を受けますが、私は『ご本人ができることはなるべく本人にやらせてあげてください。少しずつ日常を取り戻していくことが本人の励みになると思いますから』とお伝えしています」

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