「オリックスは山本が村上に打たれるようなことがあれば、ヤクルトにシリーズを一方的に押し切られてしまうんじゃないかな。それぐらいキーとなるピッチャーだよね。山本はすべての球種がずば抜けているし、ここぞという場面で三振を取れる“出来上がったピッチャー”だと思う。村上との対戦は楽しみだね。ランナーがいて、ファーストが空いていたら勝負はしないかもしれないが、山本は勝てるピッチングができる選手ですからね。
ただ村上ばかりに注目がいきがちですが、ヤクルトは村上だけを打ち取れば勝てるというチームではない。外国人選手もいいし、今年は打率が低いが村上の前を打つ山田哲人(30)もここ一番で大きなのが打てる。今年の村上の三冠王は、こうした打線全体が相手投手にかけるプレッシャーに助けられた面もあると思う。失投を見逃さないバッターが多いので、山本といえど打たれる可能性はある」
米田氏は、シーズンの本当のクライマックスである日本シリーズで勝ち切るためには、レギュラーシーズンの好調さを最後まで維持し続けることが大事だと説く。
「お互いにペナントを勝ち抜いてきたんだからチーム力はある。いい状態をいかにキープして1週間戦えるかどうかです。日本シリーズで終わりですから、すべてを出し切るということも必要になってきます。あのサイちゃん(稲尾和久)が日本シリーズで大活躍できたのも、“これで最後だから”とすべてを出し切っていたからですよ」(米田氏)
ヤクルトやオリックスなど8球団で監督やコーチを務めた怪童・中西太氏も「大打者に育ったので驚いています。広角に打てるということ、もちろんパワーがついたということなど、打者に必要な要素がここに来てグッと身に付けた」と村上を評価し、「完成されたピッチャー山本由伸と村上との対戦は見ごたえがあるだろうね」と期待する。
数々の記録をバットで打ち立ててきた村上と、多彩なボールで打者を抑え続けてきた山本。まさに最強の矛と盾のぶつかり合いとなる対決の結末やいかに──。