和田秀樹さん
多くの医者が「体に悪い」と敵視する脂肪にもさまざまな健康維持の役割がある。
「脂肪には脂肪を燃焼する作用があるので、脂肪を完全に断つと古くなった脂肪を燃やせず、筋肉を分解してエネルギーを作ることになります。そのため体脂肪が減らず、筋肉量が低下します。また脂肪は体や免疫細胞の材料として欠かせず、料理を楽しむうえでも大切な調味料。過剰摂取はNGでも、適度に摂ることは心身に好影響を与えます」
老年医学の専門家として多くの患者を診た和田さんが改めて「食」の大切さを説く。
「日々、多くの患者を診療して感じるのは、“食べていない人は元気がない”ということです。食事制限で低カロリーや低栄養、低コレステロールの食事を続けると早く老けてしまう。栄養が余ることで生じる害より、栄養が足りないことで起きる害の方がはるかに大きくなります。
人間の体が欲するのは、体に必要なものなので、まずは食べることを優先してほしい。また、自炊よりコンビニ弁当や外で食べるラーメンの方が多くの食材を使っていて、体にいい可能性が大きい。外食に罪悪感を持たないでください」
そんな和田さんの食生活はというと……。
「食事制限はもってのほかで、朝はおにぎりや総菜パンにヨーグルト、昼は好物のラーメンとチャーシュー丼に卵をトッピング。夜は、週3日は外食で晩酌のワインを欠かさず、それに合わせて魚と肉を2日おきで交互に食べています」
【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年6月7日生まれ、大阪府出身。東京大学医学部卒業後、東大医学部附属病院精神神経科、高齢者専門の浴風会病院、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、11月よりルネクリニック東京院院長。30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わる。著書『80歳の壁』がベストセラーに。
※女性セブン2022年11月10・17日号
新・健康常識