ライフ

「私の中に住む犯罪者」オバ記者が振り返る、怨念の相手に湧き起こった17才の衝動

オバ記者が強い気持ちを抱いた

オバ記者の心に衝動が湧き起こった瞬間とは

 犯罪行為に手を染めてしまうのは、一部の人だけだ。しかし、犯罪へと突き進んでしまいそうになった瞬間を経験している人もいるのではないだろうか。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が、“心のなかに住む犯罪者”について綴る。

 * * *
 つい先日、SNSに「小学生の息子が私の財布からお金を抜いた。悲しくて泣きながら息子を問い詰めた」という母親の嘆きが投稿されていたの。夫も加わり、数時間かけて、懇々と、息子をさとしたそうな。

 それに対するコメントのほとんどが、「早めに手を打ってよかったですね」という中、「オレもけっこう抜いたし、抜かれたな」という短い書き込みを目にしたので、私もつい書き込んだ。

「え~、ふつうやるでしょ、と思ってた(笑)。何度かうまくいったと思っていた小3のある日、『最近、財布の金が足りねぇんだよな』と母親からギロリと睨まれた。騒がれるよりずっとイヤな気持ちになって、それからやらなくなった」と。

 しばらく前のこと。

 マジメ一方と思っていた10才年上の仕事仲間の女性を含めて何人かとお酒を飲んでいたときのこと、彼女が「私は万引をしたことが一度もないと言う人を信用しない」とサラッと口にしたんだわ。すると、「えッ?」と顔を上げた人、黙ってうなずく人、あらぬ方向を見て目を泳がせる人。そりゃあ、“さざ波”どころではない荒波が立ったわよ。

 彼女は決してお金に困っている人ではない。都内の持ち家に住み、セカンドハウスも持っている。「でも、まさか、最近はしていないでしょ?」と恐る恐る聞くと、「これ」と言って、バッグにつけた熊のぬいぐるみのキーホルダーを見せたの。

「別に買ってもいいんだけどさ。店員の配置とか防犯カメラの位置とかで『盗り頃だな』と思う瞬間があるのよ」

 それでサッとポケットに入れたら、レジで「これですべてですね」と念を押されたんだって。「そういうとき、『えっ、どういうこと?』と怒ったらダメ。かといって引いたら負けでね」と彼女は胸を張ったけれど、(これ以上ヤバいことを言わないで)と思った私は、そこで大きく話題を変えた。同席したみんなも安心したようにすぐに乗ってきた。当時、彼女が大きなストレスを抱えていたことは知っていたけれど、それとこれとは話はまったく別だもの。

「万引というと“出来心”っていう軽い感じになるけど、要は窃盗ですからね」。そう言ったのは、取材で知り合った万引きGメンだ。化粧っけのない地味な印象の彼女はギラリと目を光らせて、こんな話もしてくれた。

「スーパーの開店時間に入り口に立っていると、この人とあの人が万引するってわかるのよ」

 なんでも、普通の買い物客と違って、万引する人は防犯カメラの位置をチラチラ見ているんだそうな。

関連キーワード

関連記事

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト