国内

旧統一教会を追いつめる弁護団の軌跡 きっかけとなった「200万円の大理石の壺」

旧統一教会の被害者救済のため献身する全国弁連(時事通信フォト)

被害者救済法案に修正を求める全国弁連の、活動のきっかけとなった「壺」とは(時事通信フォト)

「政府の説明は破綻している。抜本的に法案構成を考え直すべき」。さる11月29日、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が記者会見を開き、政府が提示した旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案の条文案を批判した。

 会見には事務局長の川井康雄・弁護士、ベテランの紀藤正樹・弁護士、若手の木村壮・弁護士ら5人が出席したが、全国弁連のメンバーは法案の概要が公表されてからもネットで会議を開き、条文案の不備や問題点について議論を重ね、会見を開いて修正を求めていた。

 この日は、会見が終わった後も一部の弁護士が残り、献金の具体的なケースについて記者たちの多くの疑問に答えていた。

 翌30日の参院予算委員会では木村弁護士が参考人として証言に立ち、「この新法では十分な被害救済、被害防止を図ることはできない」と指摘した。

 全国弁連は1987年に結成以来、35年にわたって旧統一教会と対峙し、教団が元信者など多くの被害者から奪い取った財産を取り戻してきた。文科省の同教団に対する質問権行使や解散請求に向けた法的手続きは、全国弁連が勝ち取った判決がなかったらできないはずだ。

 政治とも戦ってきた。全国弁連は安倍晋三・元首相の銃撃事件が起きる前から、政治家に声明や要望書を出して旧統一教会との関係を絶つように警鐘を鳴らした。

 安倍元首相が教団関連団体のイベントにビデオメッセージを寄せた2021年には安倍氏に対して公開抗議文も送った。しかし、見向きもされなかった。

 地味な活動も多い。そのひとつが“1人ぼっちの電話相談”だ。全国弁連は毎週火曜と木曜に被害者などからの相談電話を受け付けてきた。担当弁護士は毎回1人で相談をこなしている。

「最近は相談がひっきりなしで昼食をとる時間もありません。申し訳ないが、1人なので電話をいただいても話し中が多いと思います」(木村弁護士)

 11月24日には全国218人の弁護士からなる『全国統一教会被害対策弁護団』が結成された。

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン