国際情報

回顧録がベストセラーのヘンリー王子、心理士が指摘する「レジリエンスの低下」と「自己正当化」

ヘンリー王子の回顧録はベストセラーとなっている(AFP=時事)

ヘンリー王子の回顧録はベストセラーとなっている(AFP=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、回顧録がベストセラーとなっているヘンリー王子の「レジリエンス」低下について。

 * * *
 英王室を離脱したヘンリー王子の回顧録『Spare(スペア、原題)』が10日、世界各国で発売された。タイトルからして衝撃的で、ネガティブな印象が強く、人々の興味を掻き立てるためには十分効果的だ。

 2番手や補充要員という意味の”スペア”は、貴族階級などでは継承者に何かあった場合にそれを補う予備の者を指すという。その言葉をタイトルにつけたというだけで、苦しさや悲しさ、辛さや怒り、フラストレーションといったマイナス感情ばかりが伝わり、今のヘンリー王子が心から英王室との和解を望んでいるとは思えないだろう。

 販売元のペンギン・ランダムハウスが出したプレスリリースには「この本はヘンリー自身が、ようやく自分の物語を語る機会となる」と書かれていたといい、ヘンリー王子の最新のインタビューでは出版の理由を「私たちを守る唯一の方法は真実を書き残すことです」と語ったという。

 本の中では、ウィリアム皇太子と口論した際に暴力を振るわれたことがあると語り、アフガニスタンの従軍中、イスラム主義組織タリバンの戦闘員を25人殺害し、その人々を「チェスの駒」と表現していると報じられた。英国ではすでにベストセラーとなっているようだが、それに反して英国での王子の支持率は過去最低の26%となった模様だ。

 王子の境遇、立場、環境などを思い返せば、胸の内に複雑な感情があることは理解できる。だがこんなにも心が傷つきやすい人だったのだろうか。結婚前の王子は一般的にも無邪気でやんちゃなイメージが強かった。王子がもともと持っていた資質によるものも大きいだろう。そんな側面ばかりがメディアで取り上げられてきたためかもしれないが、ストレスにさらされてもうまく対処し、回復していくという力「レジリエンス」が高い印象があった。心が傷つき、落ち込んでも、そこから立ち直るしなやかさや精神的な回復力が高いように見えたのだ。

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン