新たなイメージカラーとなる「YOKOHAMA NAVYBLUE」をまとった相鉄12000系(撮影:小川裕夫)
相鉄はYOKOHAMA NAVYBLUEに塗られた20000系を2018年に、12000系を2019年にデビューさせた。言うならば、両車両は相鉄の走る広告の役割を果たしている。
「車体カラーに採用されたYOKOHAMA NAVYBLUEは、横浜の海を意図した色です。同色に決める過程で、関西私鉄の阪急電鉄を念頭に置いています。阪急は伝統的に車体の色をマルーン(※小豆色)に統一していますが、マルーンは沿線住民からも阪急の色として認識され、長く愛されています。それに倣い、相鉄も沿線住民に親しまれるとともに誇りに思えるような電車にするべく、車体カラーを上質感のある色に決めました。こうしたブランドイメージの向上に取り組むことで、全国的に認知度を上げていきたいと考えています」(同)
ブランドイメージの向上と並行して、相鉄が傾注するのが沿線開発だ。戦後、横浜駅や桜木町駅といった横浜市の中心部は、進駐軍に接収された。横浜市は郊外で戦後復興に取り組むしかなく、生活基盤である住宅再建は相鉄の沿線が中心になった。
横浜市は戦災復興や高度経済成長期、そしてバブル期を通じて人口増を続けてきた。横浜市の成長と同じく、相鉄沿線も歳月とともに人口を増やしていった。
沿線の住宅地開発が進む一方で、相鉄の駅前は大型商業施設が乏しい。大型商業施設が集積しているのは横浜駅・海老名駅・大和駅・湘南台駅など数えるぐらいしかない。相鉄は開発に力を注いでいるが、これらの駅はJR・小田急電鉄・横浜市営地下鉄との乗換駅になっているので、相鉄が開発した街というイメージは薄い。
そうした背景もあり、相鉄は星川駅の高架下やゆめが丘駅周辺などを急ピッチで沿線の開発を進めている。都市を丸ごとつくる都市開発・沿線開発は、1年や2年といった短期間では完了しない。施設が完成した後も、20年30年という長い歳月をかけて育てていくことが重要になる。
JRや東急との直通運転で注目が集まる相鉄だが、その効果が現れるにはまだ時間がかかるだろう。沿線がにぎやかになるのを楽しみに待ちたい。
横浜駅西口には、相鉄口もある(撮影:小川裕夫)
近年、利用者増で注目される新横浜駅。3月から相鉄・東急が乗り入れを開始(撮影:小川裕夫)