芸能

『どうする家康』で“エリートくのいち”演じる松本まりか 違和感のある髪型が表すもの

女大鼠(松本まりか)

女大鼠を演じる松本まりか(写真提供/NHK)

 NHK大河『どうする家康』で、服部半蔵を支える忍者・女大鼠を演じる松本まりか。女大鼠は、父・大鼠が束ねた忍者集団のトップを継いだ“エリートくのいち”で、町娘から遊女、武士まで七変化を遂げる変装の達人でもある。そんな女大鼠の役作りの過程で意識したことについて、松本に話を聞いた。

 * * *
 女大鼠はひっそりと身を潜める忍者なので基本的に口数が少ないのですが、そもそも感情が“無“というか、一切ぶれない。それほどまで彼女が研ぎ澄まされているのは、生きる手段として忍びをしていたからだと思います。

 忍者集団といっても普段はみんな貧しい農民なんです。命を繋ぐことが困難な時代、農民たちは生き延びるために技術を磨いて、半蔵の命令を忠実に遂行している。大事なのはいま食べるもの、眠る場所であって、余計な思考が挟まる余地なんてありません。

 家康の家臣団として忍びをしていても、農民が行動するのは自分の義はどこにあるだとか、国を良くするための大義だとか、そういう理屈じゃない。頂点に君臨する家康をフォーカスする傍ら、対極にいる忍者の生き様を見せることで当時の農民の生活がどうだったかを匂わせる。その役割を忍者集団が担っています。

 彼女は技術も卓越したデキる忍びでありながら、頭のてっぺんで髪がくるんと丸まっていてかわいいんですよ。ねずみの耳をイメージしていて幼さがありますが、サイドの前髪をぱつんとシャープに切ることでエリート感も醸し出し、そのちょっとした違和感が女大鼠をより謎めかせます。

『どうする家康』には他の現場では出会ったことのない「人物デザイン監修」として、柘植伊佐夫さんが登場人物の髪型や服装を総合的にプロデュースしてくださっているんです。農民たちの衣装までも、つぎはぎの布の色合いまで綿密に練って貧しさをリアルに見せつける。発想が刺激的で扮装するだけで役へスッと入れます。

 くのいちの七変化でも柘植さんのセンスが炸裂しているので、暗闇に潜む女大鼠をどうかお見逃しなく。

【プロフィール】
松本まりか(まつもと・まりか)/1984年9月12日生まれ、東京都出身。2000年に『六番目の小夜子』(NHK)でデビュー。「憑依型俳優」と称される。2月25日より舞台ナイロン100℃ 48th SESSION『Don’t freak out』の公演を控える。

取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2023年2月10・17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン