これまでの「愚行で炎上」の案件でも、同じ光景はありました。最近でも、おばあさんがひとりで営んでいる食堂に超失礼かつ超迷惑なことをしたYouTuberなど、次々と新しい「袋叩きの対象」が現われています。張り切って叩く人が湧いてくると同時に、行ったこともないおばあさんのお店に高い評価を付けて、「いいこと」をした気分を味わいたがる人も。ニュースをネタに勝手に楽しんでいるという点では、どっちも同類です。
なかには袋叩きを助長する伝え方をしているニュースもありますが、だからといって世の中のニュース全体に批判の矛先を向けるのは、けっこう無理のある話。人にケガをさせる可能性があるから刃物はいっさい売るなとか、俺が事件を起こしたのは刃物せいだと言っているようなものです。まして「リンチを正当化する人」の問題は、どんなニュースがどう流れているか云々ではなく、もっと複雑で根が深いと言えるでしょう。
結局のところ大切なのは、自分自身がニュースをどう受け止めて、どう活用するか。回転寿司テロに限っても、罵倒に精を出すか、冷静に事態を捉えようとするか、必死でリンチを正当化するか、リンチを正当化する人がたくさんいる状況に思いを馳せるかなど、付き合い方はさまざま。政治家の発言やジェンダー平等をめぐる議論といった「おかたいニュース」の場合も、同じように活用の仕方は自分次第です。
ニュースは自分と社会をつないでくれる窓口であり、たくさんのことを教えてくれる頼もしい存在。なるべく有意義で楽しい付き合い方を目指したいものです。「俺はとにかく罵倒のネタを探したいんだ!」とおっしゃるなら、それもまた人生ではありますが。