基礎負担重量の引き上げがどう影響するか

2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした蛯名正義氏

 幸い僕のところは入れ替わりで引退された藤沢和雄先生のところで使っていた鞍や馬具、それからミーティングの時に使うテーブルやホワイトボード、冷蔵庫なんかもいただいてだいぶ助かりました。それでも新しい厩舎だったので、たとえば夏場のことを考えると各馬房に扇風機を入れたりしました。僕はまだジョッキー時代の蓄えがあったからよかったけれど、借金して開業する新人調教師もいます。

 遠征する馬の輸送費はJRAが負担するし、同行する厩務員の分は決まった額を馬主さんに請求できるのですが、僕自身が関西の競馬場へ行く時の交通費などは自腹です。また、たとえば2場に出走があって、どちらかに調教助手が行かなければいけない場合も、調教師の代理ということになるのでその分も請求できません。もちろん、北海道の牧場に馬の様子を見に行ったりする費用も自腹です。

 昨年11勝しましたが、もっとも賞金が高かったのが2勝クラス特別で進上金は150万円ほど。年間の合計ではジョッキーとしてデビューした35年前とほぼ同じです。あの頃と同じ気持ちになって頑張りなさいということなのでしょう。

(次号に続く)

【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。

※週刊ポスト2023年3月3日号

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