国内

首都直下型地震が起きたら、東京はどうなるのか 都内要注意エリアでの被害リスクを分析

大地震の被害は計り知れない(時事通信フォト)

大地震の被害は計り知れない(時事通信フォト)

 トルコの大地震は世界中に衝撃を与えた。だが知ってのとおり、日本も地震大国。同じ規模か、それ以上の大地震がいつ起こるとも限らない。なかでも「今後30年以内に70%」の確率で発生するといわれているのが、首都直下地震──そのとき、東京に“安全な場所”はあるのだろうか。【全4回の第2回。第1回から読む】

 東京での大地震となれば、国家レベルの被害に及ぶことは想像に難くない。まずは東京の中でも特に危険な区域から、そのリスクを見ていこう。東京都の地域危険度測定調査部会会長を務める、東京都立大学名誉教授の中林一樹さんはやはり「軟弱地盤」の危険性について語る。

「表面の土地の状況によって、地上の揺れ方は変わります。荒川区、墨田区、江戸川区のような泥と砂が堆積した沖積地盤は地上が揺れやすく、液状化も起きやすい。一方、武蔵野台地のように固い地盤の上に火山灰が積もった地盤は、沖積地盤と比べると揺れにくいのです」

 丘陵の谷の部分を埋め立てた土地も当然ながら地盤が柔らかく、揺れやすい。液状化が建物の全壊に直結することはきわめて少ないが、ライフラインには大打撃を与える。

「都内で地震の被害をもっとも受けるのは、環状七号線の内外の市街地です。この地域は、100年前の関東大震災後にできた市街地で、充分な都市計画がされず、道路が整備されないまま住宅が立ち並んだために、建て替えがなかなか行われない。築40年以上の旧耐震基準の家がいまだ密集して残っています」(中林さん・以下同)

 墨田区や荒川区、葛飾区など荒川両岸や大田区の多摩川河口などの低地には、地盤が揺れやすいうえに木造住宅が密集した市街地が多く、被害も集中する。足立区の千住、台東区は浅草の北部なども同様で、危険度が高いとされている。

 たとえ地盤がよくても、安心してはいけない。

「練馬区や中野区、杉並区、世田谷区あたりは地盤こそいいですが、木造住宅の密集度が高い。山の手の中では被害を受けやすい場所だと言えます」

 つまり、地震が起きたとき大きな被害が出る地域がドーナツ状に都心を取り囲んでいるのが、現在の東京の都市構造なのだ。そのため、もし都心のオフィスで勤務中に地震が起きた場合、帰宅しようと試みてはならないと、中林さんは言う。

「東京都も大規模災害発生時にはむやみに移動しないようアナウンスしています。東日本大震災のときは建物被害はなかったのに電車やバスが止まり、都心から郊外へ歩いて帰る人が大勢いましたが、首都直下地震が起きた場合、建物倒壊と火災で危険な木造密集市街地を通り抜けて帰ることになります」

 そのエリアを歩いて帰ることは、帰宅者自身が危険にさらされることにつながるだけでなく、消防活動や救助活動の妨げにもなりうる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン