『最後の晩餐』13人の食事会の席順はどう決める?
キリストは、十字架による磔刑で亡くなる前の晩に12人の弟子を集めて「最後の晩餐」を開き、裏切者がいることを告げる。裏切者の名はユダ。13人が1つのテーブルに座る世界で最も有名なこの食事会を、画家たちはどう描いてきたのか。
●13人が横一列に並んで座る
レオナルド・ダ・ヴィンチ 最後の晩餐 1495~1498年頃 油彩 テンペラ 壁画 420×910cm サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院 ミラノ(C)PPS通信社
【レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』(1495~1498年頃)】
テーブルの向こう側にキリストを中心に左右6人ずつ弟子が座っている。左端から5人目、体を引き離すようにキリストを見上げているのがユダ。6人の弟子はそれぞれ3人のグループでかたまり、キリストから最も離れた両端の3人は手振りや身振りが大きく、キリストに近い3人は動きが小さい。この動きの差により、ざわめく様子が描かれている。
●向かい合わせに座る13人
ジョット 最後の晩餐 1304~1305年頃 フレスコ 壁画 200×185cm スクロヴェーニ礼拝堂 パドヴァ(C)PPS通信社
【ジョット『最後の晩餐』(1304~1305年頃)】
頭に黄色で光の輪が描かれているのがキリスト。手前の左端に座る黄色の衣服を着ているのが、ユダ。少し高い位置から斜俯瞰で見下ろすように描かれ、向かい合わせに座っているのが特徴的。弟子たちの顔がバラバラの方向に向いているため、「裏切り者は誰だ」と、ざわついている様子が伝わってくる。
●ひとりだけポツンと座っているのは誰?
カスターニョ 最後の晩餐 1447年 フレスコ 壁画 470×975cm カスターニョ美術館 フィレンツェ(C)PPS通信社
【カスターニョ『最後の晩餐』(1447年)】
テーブルの向こう側にキリストと11人の弟子が座り、手前にユダひとりだけが描かれている。孤立している様子から、誰が裏切り者か一目瞭然。ユダとテーブルを挟んで向かい側に座っている、赤と青の衣服を身に着けているのがキリスト。ざわめく11人の弟子と、裏切りが明らかになって黙り込むユダの対比が緊張感を生んでいる。
(後編へ続く)
構成/上田千春
※週刊ポスト2023年3月10・17日号