固定電話の自動録音機(右)。特殊詐欺防止のため大阪府警が全警察官・職員に設置を呼び掛け、大阪市は2022年12月から無償貸与を始めた(イメージ、時事通信フォト)

固定電話の自動録音機(右)。特殊詐欺防止のため大阪府警が全警察官・職員に設置を呼び掛け、大阪市は2022年12月から無償貸与を始めた(イメージ、時事通信フォト)

サンプルリストから電話して分かること

 新しい名簿は手に入らないのか尋ねると「独自にリストを作って持っている名簿屋がいる。入手した情報を独自にアップデートさせ精度を上げている。自分たちで作成しているので言い値をつけられる」、1件当たりの価格が高くなるのはこのためだと組員はいう。

 犯罪グループが欲しいのは、新しく精度の高いリストだと思いがちだが、そうとは限らないらしい。組員は「そこまでの情報がいるのはタタキをやる犯罪グループだ。押し入るからには、家族構成やどこの家にどれだけの金があるか、金目の物を持っているかなどが重要になる」と言う。

 だが「特殊詐欺に使う名簿に詳細な情報はいらない」と組員はいう。「かけ子を使って何百件ものアポ電をかけさせるので、名前と住所、自宅電話番号があればすむ。電話をかけて、ひっかかりそうな家を探せばいいから、情報量の多い値段の高いリストはいらない。必要なのは電話がきちんとつながるか、名前と住所が一致しているか、似たような電話が最近かかっていないかだ」。彼らがかけるのは自宅の電話だ。携帯電話の情報はこのようなリストには載っていないという。

 彼らはリストを買う前に”サンプル”をもらい、実際に自宅に電話をかけて、それらを確かめる。サンプルリストは正規の名簿屋でも出している。「警戒されてすぐに切られたり、話してみて営業などの電話が多くかかってくると聞けば、そのリストは既に出回っているから使えない」 組員はサンプルとタグがついたリストをスマホ画面で見せてくれた。40件ほどのリストには名前、性別、生年、自宅住所に自宅の電話番号が載っている。首都圏に住む80代の高齢者リストだ。

「特殊詐欺グループが利用するリストは闇の名簿屋から入手したものだけではない。正規の名簿屋から何らかの方法で入手したリストも利用する。自宅にかかってきた電話の親切な声につられて答えていると、ターゲットになるだけだ」(組員)

 こうした特殊詐欺グループにだまされないためには、自宅の電話を留守電対応にしておくのが第一歩だ。

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