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犯罪グループの中で出回る「闇リスト」、「特殊詐欺に使うなら10年以上前のデータで十分」と暴力団組員明かす

2015年6月、詐欺未遂事件で、警視庁が押収した同窓会名簿や携帯電話(時事通信フォト)

2015年6月、詐欺未遂事件で、警視庁が押収した同窓会名簿や携帯電話(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、連続強盗事件で使われていると言われる「闇リスト」について。

 * * *
「特殊詐欺に使うだけなら、名簿の情報は名前と年齢、住所、自宅の電話番号があればいい。資産状況などは必要ない。タタキ(強盗)とは違うんで」。そう話すのは、特殊詐欺グループのハコと呼ばれる拠点で、仕事をしたことがあるという反社会的勢力組織の組員だ。

 2月下旬、福島県南相馬市の住宅に複数の男が押し入り、高齢の夫婦が襲われた強盗殺人未遂事件。被害者の名前が載っていたという名簿は、10年以上前に警察が特殊詐欺グループから押収した「闇リスト」だった。報道によると被害者は以前、特殊詐欺の被害にあっており、警察からの情報提供でこの闇リストの存在を知っていたという。リストの情報は、犯罪グループが何らかの業者や団体を装ったアンケート調査や下見など、様々は方法でアップデートされ、10年以上が経過しても、未だに犯罪グループに出回っていたのだ。

 リストを販売している名簿屋と呼ばれる名簿業者では、1件当たり10~50円程度でリストを売る。名簿の納品はメールや紙媒体のこともあるが、今はほとんどUSBメモリかCDで納品される。本来なら名簿屋が、リストが犯罪に利用されると知れば、名簿を売ることはない。だが名簿屋の中には、正規の業者ではないこのような闇の名簿屋もいるといわれる。そこには”詐欺にあったことのある個人のリスト”や”闇金利用者リスト”もあるという。

 名簿といえば常に更新されているイメージがあるが、名簿屋が販売しているリストは最新のものではない。「名簿屋が売っているのは古いリストだ」と組員はいう。その理由は2020年6月に改正され、2022年4月に施行された改正個人情報保護法だ。

 この法律により、普通の名簿屋が販売できるのは2005年4月以前に入手した名簿だけだ。ある名簿屋のHPを見れば、それ以降に入手した情報は販売しないと書かれている。個人情報保護法が改正により情報の取り扱いが厳格化し、罰金刑が強化されたのだ。50万円以下の罰金だったものが1億円以上に引き上げられた。「名簿業者も中には闇や裏の者もいるが、普通は古いリストしか出てこない」(前出の組員)。

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