ライフ

【新刊】東野圭吾の記念すべき著書100冊目『魔女と過ごした七日間』など4冊

記念すべき著書100冊目。あなたのゴミからあなたの顔が分かる不気味

記念すべき著書100冊目。あなたのゴミからあなたの顔が分かる不気味

 春爛漫。穏やかな陽気のこの季節。ゆっくりと読書を楽しんでみるのはいかがでしょうか? 今、読みたいおすすめの新刊4冊を紹介します。

『魔女と過ごした七日間』東野圭吾/KADOKAWA/1980円
 唯一の家族である元警官の父が殺された中3の陸真。通帳を見ると、未知の男からの振り込みと未知の女性への送金が。不思議な能力を持つ円華(魔女)の助けを借り、親友の純也と共に父の死の謎に挑む。前景は少年の冒険譚ながら、後景には法制化せず国民のDNAデータを秘かに蓄積中の国の動きがある。勘ぐり過ぎと侮るなかれ。この視座が本作で最も読むべき錨だと思う。

木村拓哉主演。4月にフジテレビ系で、『風間公親−教場0−』もスタート

木村拓哉主演。4月にフジテレビ系で、『風間公親−教場0−』もスタート

『新・教場』/長岡弘樹/小学館/1760円
 警察学校の教官となった伝説の刑事、風間公親。助教の尾凪や警官未満の学生達の資質を、非情な眼で査定する。模擬交番研修中のケンカ沙汰、マル暴刑事志望の青年の奇妙な癖、ブラジリアン柔術で通り魔を逮捕した学生、首席候補の女性のストーカー被害など。中でも父母参列の卒業式の最中に起こる放校処分が最凶。エピローグに吉報が。風間の現場復帰の日が待ち遠しい。

定年後の最大の壁は自己過信という傲慢。肝に銘じよう

定年後の最大の壁は自己過信という傲慢。肝に銘じよう

『定年後の壁 稼げる60代になる考え方』/江上剛/PHP新書/1133円
 49才で銀行を辞めた著者は職安で聞かれた。「不良債権の回収とありますが法的知識は」「ありません」。すると係員はこう言った。「経歴ではなくスキルを書いて下さい」。著者は著述業で成功したが、これは稀有な例。友人や知人の例を引きながら、高給を望むな、専門性がなければ人脈を頼れ、人が喜ぶ仕事に就けと助言する。笑顔で働く高齢者に共通するのは“謙虚さ”だと教わる。

青春ミステリーの顔をした記録文学。敗戦時13才だった著者の迫真の思い

青春ミステリーの顔をした記録文学。敗戦時13才だった著者の迫真の思い

『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』/辻真先/創元推理文庫/990円
 敗戦後、占領軍の指導で学制は男女共学の6・3・3制に。その新設高校で映研と推研の生徒らが密室殺人と首切り殺人に遭遇する。本格推理の遊戯性以上に当時の世相を刻む記録文学の要素が貴重。報道されなかった南海トラフ震源の巨大地震、民主主義者に豹変する大人の保身、「新日本女性」と謳う米軍慰安婦募集など、不都合な真実を歴史の法廷に引きずり出す筆に圧倒される。

文/温水ゆかり

※女性セブン2023年4月20日号

関連記事

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン