国内

岸田首相襲撃事件で浮き彫りになった選挙警備の難しさ どぶ板選挙や握手の見直しも必要か

街頭演説会場で聴衆者に金属探知機を使ってボディーチェックをする警察官。2023年4月22日、和歌山市(時事通信フォト)

街頭演説会場で聴衆者に金属探知機を使ってボディーチェックをする警察官。2023年4月22日、和歌山市(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、変化を求められている選挙警備について。

 * * *
 選挙警備は難しい。再び世間にそう知らしめた事件が4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で起きた。岸田文雄首相の選挙演説会場に、爆発物が投げ込まれたテロ事件だ。木村隆二容疑者(24才)はその場で取り押さえられ逮捕。動機については、黙秘を続けていると報じられ、未だ不明のままである。

 演台近くにいた首相の足元に転がったのは、木村容疑者手製と思われる金属製の筒形の爆発物。和歌山県警の警護員が即座に反応。爆発物を蹴り、鞄状の防護板を広げながら首相に身体をぶつけてガードした。鉄パイプ爆弾とみられる筒状の物は2つ見つかっており、そのうちの1つが50秒後に爆発。複数の警護員によって退避した首相にけがはなかった。

 首相と聴衆との距離は約5メートル、コーン標識で区切られていただけ。手荷物検査も実施されなかったという。事件発生時の映像を見た警察関係者は、「警備と一括りに考えがちだが、警護と雑踏警備は全く別物」だと話す。警護は人について非常事態の発生を警戒して守ることであり、警備は雑踏での事故の発生を警戒し防止するのが業務である。和歌山県警は現場となった漁港で、過去に要人警護をした実績がないことがわかっており、「この2つの任務分担がしっかりされていなかった可能性が高い」と警察関係者はいう。

 特に警察関係者が指摘したのは、現場に多数配置されていた制服警察官らの視線の向きだ。「総理がきて、そっちが気になって見たくなってしまったのだろう」と話す。警視庁の元刑事も、現場の映像を見て同じ点を指摘した。「配置された警察官は通常、対象者である総理に背中を向けて聴衆の方を見なければならないのに、対象者(総理)を見ていた。あれでは不審者や被疑者の発見、確保は難しい。警護警備の基本なのだが、それが守られていなかったようだ」。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン