1988年のドラマリスト(HPより)
これだけの作品数が放送されている上に、今回のリクエスト企画で過去作にふれてもらうことで、「今も昔もドラマと言えばフジテレビ」という印象を持つ人が増えるのではないでしょうか。
3月にも65作配信の大型企画を開催
フジテレビに限らずテレビ業界における“ドラマ”は、今後の配信ビジネスで最も期待されているストック型コンテンツのエース。ドラマは配信再生数の上位を独占している上に、自局系動画配信サービスへの誘客や海外配信などによる収入アップの可能性を秘めた最重要コンテンツとなっているのです。
このところ各局でドラマ枠が増えているのはそのためであり、フジテレビとしては他局に負けていられません。だからこそ今回の大規模なリクエスト企画は、新作・旧作ともにドラマの質量で勝負できる同局の強みを生かしたものに見えるのです。
実は2か月前の3月にも、『フジテレビ名作ドラマ祭り65』が開催されていました。こちらは「65作の名作を無料配信する」という過去最大規模のドラマ配信企画。1990年代の『古畑任三郎』『ひとつ屋根の下』『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』『神様、もう少しだけ』から、2010年代の『リッチマン、プアウーマン』『最高の離婚』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』『コンフィデンスマンJP』『silent』まで、圧倒的なラインナップで好評を博して終了しました。
ちなみにフジテレビは、3月に発表された『TVerアワード2022』で、ドラマ大賞に『silent』、特別賞に『ミステリと言う勿れ』、特別賞(過去作品部門)に『ガリレオ』が選ばれるなど、ドラマ関連の賞を独占。これらの実績もあって、今回の大規模なリクエスト企画はフジテレビにとって“ドラマ”が重要なブランディングの1つであることを象徴しているように見えるのです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
1989年のドラマリスト(HPより)
1990年のドラマリスト(HPより)