摂取の主な方法はサプリメントと点滴(写真/PIXTA)
多くの人にはまだ聞き慣れない言葉かもしれないが、NADの歴史は古く、その発見は1906年にまで遡る。脚光を浴びるようになったのはつい最近のことだ。
「2011年にワシントン大学の今井眞一郎教授が、マウスにNMNを投与した実験で糖尿病予防に画期的な効果があったことを報告。それがきっかけで注目されました」
その後、さらに研究は進み、糖尿病だけでなく、さまざまな病気や不調の改善や予防につながるデータが発表された。
「がんや生活習慣病予防、フレイル予防、肥満解消、認知機能低下予防や動脈硬化改善などにも効果があることがわかってきています。その機序として注目すべきは、『サーチュイン遺伝子』を活性化させる働きです」
サーチュイン遺伝子とは、別名「長寿遺伝子」「抗老化遺伝子」とも呼ばれ、アンチエイジングの実現に重要な働きをするといわれている。
「サーチュイン遺伝子が活性化すると、傷ついたDNAが修復されたり代謝が上がることで元気な細胞を維持することができます。その結果、病気になりにくい体になり、生物の寿命が延びるといわれています」
老化を抑える働きは、見た目の若々しさにも直結する。
「細胞の若返りと抗酸化作用によって、肌のくすみやシミ、しわの改善につながることも認められています。骨格筋の力も強くなるといわれているので、表情筋の働きが改善し、顔のたるみも解消される。健康面から美容面まで、若返りに幅広い効果が期待できるのです」(中崎さん・以下同)
ブロッコリーなら2000株が必要
病気予防に改善、さらに若返りにまでつながるというNMN。まさに夢のような成分だが、いったいどうやって摂取すればいいのか。
「枝豆やトマト、ブロッコリーなど、食べ物からNMNを摂取することも可能です。ただ、例えばブロッコリーからNMNを100mg摂取しようと思うと、2000株くらい食べる必要があります」