簡単に処方される薬だが、不調や病気のリスクを上げる原因になっているケースも(写真/PIXTA)

簡単に処方される薬だが、不調や病気のリスクを上げる原因になっているケースも(写真/PIXTA)

 例えば、日本で最も多く処方されているとされるカルシウム拮抗薬でも、服用することでかえって症状が悪化する体質の人もいる。

「不整脈の一種で、心臓の拍動が遅く脈の間隔が空きすぎる『徐脈』の人は使わない方がいい場合がある。カルシウム拮抗薬の一部は心臓の働きを抑えてしまう作用があるため、より徐脈の症状がひどくなる可能性があるのです。また、頭痛や歯肉が腫れる副作用が見られる場合が時々あります」

 心臓の仕事量を減らす作用を持つβ遮断薬は、喘息の症状を悪化させるリスクがある。

「心臓だけでなく、気管支拡張にかかわる作用が出現する可能性がある。その結果、気管支の収縮を招き、喘息の発作が出やすくなり、症状がひどくなる恐れがあります」

 利尿薬にも副作用があると注意を促すのは、銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんだ。

「尿から塩分を排出させることで血圧を下げる薬ですが、体内にたまっているカルシウムも一緒に外に出す副作用があります。長期で使い続けるとカルシウムが欠乏するため、骨粗しょう症になりやすくなる。特に年を重ねた女性は骨がもろくなりやすく、骨粗しょう症リスクが高まるため、注意すべき薬です。

 また、利尿薬の中でも『アゾセミド』と呼ばれる種類の薬はコレステロール値を上げる副作用も報告されています」(長澤さん)

 さらに降圧剤は1種類だけではなく、血圧に応じて複数を組み合わせて処方されることも多いが、その「のみ合わせ」が体調の悪化を引き起こすケースも時に発生する。谷本さんが指摘する。

「近年、高血圧の治療において1種類ではなく、さまざまな作用のある降圧剤を少量ずつ使った方が副作用が少なくて安全だという説が有力になりつつあります。ただしまったく作用の異なる降圧剤を組み合わせるのが基本です。特にACE阻害薬とARBののみ合わせは一般的にすすめられておらず、副作用のリスクが高くなるとされています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン