ある特定の事物や状況に不安や恐怖を抱く、「○○恐怖症」に悩まされる人は少なくない。例えば「対人恐怖症」に苦しむ人がいる。それはどんなものなのか。
「強い緊張、硬直、ふるえ、動悸。かつての私は、人前に立つと蛇に睨まれた蛙のようになってしまい、相手の話していることがまったく入ってきませんでした。そのうち、めまいや閃輝暗点(視界が狭くなってチカチカした光が走る症状)、ひどい片頭痛に襲われるようになりました。それまでは、自衛隊で鍛えた体力・精神力があると自負していたので、そうした体の異常に驚き、追い詰められました」
こう言うのは、視線恐怖やスピーチ恐怖など対人恐怖症の治療を専門とする、大阪メンタルカウンセリング院長の佐藤翔平さん。
佐藤さんは、システムエンジニアとして独立し多忙を極めていた頃、対人恐怖症を発症した。最初の3年間は原因がわからず暗中模索。過酷な仕事のせいと思って静養しても、乱視のせいではと眼科で言われて眼鏡を作っても、心療内科で躁うつ病と診断され薬を服用しても改善されず、人生を彷徨っていたという。
「電話をするだけで動悸が起こるようになって、そこで自分が対人恐怖症だと気づいたんです。病院への不信感が募り、インターネットでよいといわれる方法を片っ端から実践していきました。私は禁煙で症状がかなり軽減されましたが、下の5つのPointは不安症全般に有効な対策だと思います」(佐藤さん・以下同)
ただし、「根治となると別問題」と佐藤さんは強調する。
「異常には必ず原因があるので、その大元を取り除く作業が重要なんです。
私の場合、何が恐怖なのかを分析した結果、怖かったのは『自分自身』でした。自分で自分を否定していたんですね。それから、ありのままの自分を受け入れてみようと過ごすうち、半年ほどで治っていました。いまなお再発していません」
こうした徹底解析を伴う治療法は評判を呼び、これまで約100人の患者が対人恐怖症の根治に至ったという。2021年度には3か月以内に100%の人が根治した。
「よく『緊張』と『恐怖症』を混同し、間違った治療をしている治療者を目にします。恐怖を抱いている対象を段階的に触れることで慣らしていく暴露療法が有効だとすれば、それは強い『緊張』の範疇でしょう。『恐怖症』は、一度恐怖のスイッチが入ったら慣れることはありません。つまり、恐怖という考え方そのものを根本から変えない限り、根治できないと私は思います。でも大丈夫、対人恐怖症は必ず治ります。私が証明します!」
■Point
・早寝早起きを心がける
・運動する(毎朝30分の散歩)
・カフェインを控える
・栄養バランスの取れた食生活(足りない栄養素はサプリメントで補う)
・信頼できる人(素の自分でいられる人)とかかわる時間を多くとる
【プロフィール】
大阪メンタルカウンセリング院長・佐藤翔平さん/「改善」ではなく「根本治療」にこだわり、克服できなければ全額返金を保証。対人恐怖症を克服した体験に基づいたカウンセリングが人気。
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2023年6月8日号