池田大作・創価学会名誉会長(時事通信フォト)

池田大作・創価学会名誉会長(時事通信フォト)

 野上氏は、岸田首相が公明党に選挙区を譲らなければ、創価学会と維新が総選挙で広範な“選挙協力協定”を結ぶ可能性は十分あると指摘する。

「選挙では公明党と創価学会は別々に推薦を出す。公明党が選挙協力しても、創価学会は別の動きをしてもいいわけです。したたかな創価学会は虎の子の関西の公明6議席を守るために、公明には自民党候補を推薦させ、創価学会の票は維新に回す。大阪以外でも維新と秘密の選挙協力を組む可能性が十分にあり、すでに話が進んでいてもおかしくない。

 そうなると、自民党は各地で大苦戦に陥るが、創価学会としては岸田首相に勝たせるより、自民党の議席を減らしたほうが、結果として公明党の存在価値は高まる」

 自民党は多くの選挙区で「学会票」の上乗せによって接戦を制してきた。いくら岸田首相の支持率が上がったとはいえ、頼みの創価学会票が維新に流れれば、形勢は一変する。

 創価学会中枢とも維新ともパイプがある菅前首相は、それが自民党にとって最悪のシナリオになることが見えているから、岸田首相に「解散する状況ではない」と警告しているのだが、自信満々の首相は、目の前の陥穽が見えていない。

※週刊ポスト2023年6月9・16日号

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