国内

「ABEMA」はなぜ別府ひき逃げ事件を追い続けるのか 別府出身のテレビマンが背負った“責任”「私は八田を捕まえたい」

指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)

指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)

 大分県別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件発生からまもなく1年が経とうとしている。指名手配中の大分県日出町の会社員・八田與一容疑者(26)は現場を逃走したまま見つからず、事件は未解決のままだ。

『ABEMA的ニュースショー』(ABEMA)は、この事件を追い続けている。八田容疑者の周辺に取材を重ね、番組を通して、何度も情報提供を呼びかけてきた。番組の総合演出を担当する谷口欽也氏は、別府市の出身だ。彼を最初に動かしたのは、「なぜ?」という素朴な疑問だった。

 まずは事件の経緯を振り返る。

 昨年6月29日夜、別府市内の県道で、赤信号で停止していたバイク2台に軽乗用車が追突し、19歳の大学生1名が死亡した。捜査関係者によると、事件直前、亡くなった大学生と八田容疑者の間でトラブルがあり、故意にぶつけた可能性があるという。八田容疑者は軽乗用車を現場に残し、裸足で逃走したと見られる。

 谷口氏は昨年6月、事件当日のニュースを東京で見かけたという。現場が地元、しかも土地勘のある場所だったことに驚きつつも、正直なところ、当時は深く気に留めなかった。すぐに犯人は捕まると思ったからだ。しかし年末に帰省した際、八田容疑者がまだ逃走中であることを知った。

「別府は温泉地とはいえ田舎です。コロナ禍もあり、人通りが激しいわけでは全然ない。『こんな田舎の町をなぜ容疑者は裸足のまま逃げとおせているんだ?』という素朴な疑問がまず湧きました」

 谷口氏は、亡くなった大学生Aさんの遺族に会うことを決意した。遺族の心情を慮り、あくまで取材ではなく、「Aさんの仏壇に手を合わせたい。可能であれば、お話を伺いたい」と伝えた。

「ご遺族に承諾していただけましたが、どんな顔でどういう言葉をかければいいのか、自分は一体何が知りたいのか、直前まで悩みました。でも仏壇の前に座り、遺骨を前にしたら、怒りで自然と涙がこぼれて……。『八田を捕まえませんか。私は八田を捕まえたいです』という言葉が口から出てきました」

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン