八田容疑者がAさんたちに故意に車をぶつけた可能性もあるが、あくまで現時点で彼にかけられた容疑は道路交通法違反(ひき逃げ)だ。
「そのため捜査一課ではなく交通課が対応しています。警察は捜査一課とも連携していると言いますが、交通課主導で、ただ情報提供を頼りにするのではない『攻めの指名手配犯捜査』ができるのか疑問点が多いのも事実です。しかし、逮捕するのは警察です。道路交通法違反には時効があるので、ご遺族の気持ちを第一に、早急な容疑者逮捕を期待しています」
あらためて谷口氏に事件を追う理由を聞くと、穏やかな口調で「知ってしまった者の義務がありますから」という言葉が返ってきた。
「別府出身というところから私はこの事件に関心を持ち、遺族の方の気持ちも、亡くなった方が生前どのように日々を過ごしていたかも、八田容疑者がどんな人物かも、警察の捜査についても知りました。知れば知るほど許せないことが増えていって、この不条理に対して少しでも何かできないかと感じています。
マスコミの人間として僕にできるのは、少しでも情報を拡散すること。それが八田容疑者の逮捕に繋がればうれしいです」
故郷で起きた痛ましい事件を風化させない──。その執念が、彼を突き動かしている。