「二次高血圧」を引き起こす主な原因
そのため、肝臓病による血糖値上昇は、(空腹時血糖が低い)最初の頃は見逃される可能性があるという。竹村医師が続ける。
「食後に眠気やだるさを感じたら『食後高血糖』の可能性がありますが、その場合は糖尿病予備群か、すでに糖尿病になっている可能性があります。その原因が慢性肝炎などの肝臓病にせよ、気付かない“隠れ糖尿病”にせよリスクはあります。たとえ空腹時血糖の数値が低かったとしても自分で判断せず、一度、専門医を受診してほしい」
これはおかしい…
さらに怖いのが、急激に血糖値が上がる原因が「すい臓」にある場合だ。日本糖尿病協会療養指導医の石原藤樹医師(北品川藤クリニック院長)が解説する。
「すい臓がんになると、血糖値を下げるインスリンを分泌する働きが阻害されて急に数値が高くなることがあります。
私が大学病院の勤務医時代、軽い糖尿病の60代男性が、食生活などは変わっていないのにHbA1cなどが急激に上昇したことがありました。私は『これはおかしい』とすい臓がんを疑って外科を紹介したところ、早期のすい臓がんが見つかり、手術を受けたケースがありました。早期発見が難しいとされるすい臓がんですが、急激な血糖値の上昇が発見につながる場合もあるのです」
高血圧や高血糖は、気にしすぎることで過剰な医療につながり、身体を害するリスクがある一方で、別の重大な病気のシグナルとなることもあるということだ。
自分には治療が必要なのか──数値を過大にも過小にも評価せず、専門医に相談しながら適切に判断していきたい。
※週刊ポスト2023年7月14日号