「ベビーカーを蹴られました」
《歩いてたら、邪魔だ!ってわざとベビーカーにぶつかってこられた 一応、すみませんって言って去ろうとしたら再度(ベビーカー)に体当たりしてきて(中略)普通に怖すぎるでしょ…》
6月7日、モデルとして活動する「ななちゃら」こと實近菜那さん(24才)が、Twitterにこうつぶやくとともにアップした動画が“ベビーカー騒動”として大きな議論を呼んだ。
動画には、サングラスをかけた男性が實近さんの赤ちゃんが乗ったベビーカーを掴み、大声で詰め寄る様子が収められていた。ベビーカーが引っ張られるたびに乳児の体は大きく揺れ、いまにも転落しそうだ。
投稿は5万回以上リツイートされ、テレビのワイドショーでも「ベビーカーぶつかり男」として数多く報道された。
昨今の「子連れヘイト」拡大の要因は、社会構造の変化にあるという。
「少子高齢化が進み、いまは子育て世帯の人口割合が圧倒的に少なくなりました。結果、都心では子供がいないことが前提の社会になりつつある。子供を“特殊な存在”と捉える一部の人たちから、子供連れの母親は苛立ちをぶつけられてしまう」(子育て問題に詳しいジャーナリスト)
その動画に対して、世間のママたちからは“不審者”への怒りの声とともに、似たような経験をしたことがあるという声が数多く上がった。
「ベビーカーでバスに乗ったら、見知らぬ高齢男性から邪魔だとばかりに、ベビーカーを蹴られました。恐怖を感じた子供は大泣きして、バスを降りるまで周囲の目が痛かった」(東京都・20代女性)
「デパートのエスカレーターで、抱っこひものバックルを後ろに乗った人に外されそうになりました。すんでのところで身をよじりましたが、危うく子供が落ちるところでした」(神奈川県・30代女性)
子供連れで安全に移動できる公共交通機関を求める団体「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」が、2019年に1000人超の保護者にアンケートを行ったところ、「電車や地下鉄を利用している際に子供の危険を感じたことがある」と回答した人は9割以上にのぼった。
日本防犯学校副学長で、女性防犯アナリストの桜井礼子さんが解説する。
「“卑劣な加害者”がターゲットにするのは、自分より力が弱い女性や子供です。特に、夫と一緒ではない子供連れのママは標的になりやすい。中でも、見た目がおとなしそうなママが被害に遭うケースが増えているように感じます」
いま被害への対抗策として広がっているのが、堀北さんの“護身術”と同様、見た目のイメチェンだ。
《金髪にしたら、嫌な目に遭わなくなった》
《編み込みヘアが効果的》
《民族衣装に寄ってこない》
SNS上にはこうした成功例が数多くアップされている。
「外見での自衛策について、ママ友同士で意見交換をすることもあります。最近は、タトゥー柄のアームスリーブが効果てきめんと評判です。一見すると腕にタトゥーを入れているように見えるんです。私はまだ抵抗があるけれど、子供を守るために必要なことなら、なんでもやります」(東京都・30代女性)
堀北さんのダボダボの服や存在感のあるアクセサリー、明るい髪色も効果がありそうだ。桜井さんが続ける。
「外見を派手にして“強そうな女性”を演出することは、自衛につながるといえるでしょう。背筋をピンと伸ばして堂々と歩くことで、さらなる効果が得られます。常に周囲に目配りと気配りをすることも大切です」