ホームの「球場」も重要になる。エンゼルスと同じカリフォルニアに本拠地を置く伝統球団のジャイアンツは人気回復を目指して大幅な戦力補強を進めており、人気と実力を兼ね備えた大谷獲得はベストの選択肢になる。
「問題は本拠地のオラクル・パークです。海からの風で右翼側に飛んだ打球の勢いが止まり、左打者はホームランを打ちにくい。投手としては有利だが打者としては不利な球場で、二刀流で結果を出すことが難しくなりそうです」(福島氏)
逆に投手・大谷が苦労しそうな球場がクアーズ・フィールドだ。
「ロッキーズの本拠地で、高地にあり打球がよく飛ぶことで有名です。バッターには魅力的ですが、ピッチャーは本塁打が出やすい上、気圧の関係でボールの変化に影響を及ぼすため三振が取りにくい」(福島氏)
二刀流ゆえに一長一短あるが、総合的なバランスで福島氏と友成氏が最有力候補とするのが、ロサンゼルスに本拠地を置くドジャースだ。
「ドジャースタジアムは外野やファウルゾーンが広く投手有利です。ロスで環境を変えず、優勝を目指すチームでプレーできることも大きなメリットになる」(福島氏)
さらにドジャースは二刀流への準備も万端だ。
「大谷を獲得するため、ドジャースはDH専門の強打者・マルティネス(35)と1年しか契約を結んでいません。大谷は今季同様にシーズンを通してDH専門で試合に出場できるので、投打におけるさらなる活躍が期待できます」(福島氏)
だが、懸念点もある。
「ドジャースはサイ・ヤング賞候補が3人もいる投手王国。大谷が打者として規定打席に到達するには6人ローテーションが必要ですが、エース級は規定投球回に到達しないことを恐れて6人ローテを嫌います」(友成氏)
大舞台で戦う姿を見たいが、決断やいかに──。
※週刊ポスト2023年8月4日号