取材中、小島から著者に宛てられた手紙の数々。インベ氏は、宛名や差出人の書き方にも、強迫観念的なものを感じたという。(写真は著者提供)

取材中、小島から著者に宛てられた手紙の数々。インベ氏は、宛名や差出人の書き方にも、強迫観念的なものを感じたという。(写真は著者提供)

 続く、第三回公判の検察側の被告人質問では、小島の計画性が見えた。

検察「自分の欲望のためにまったく関係のない人を殺すことについては葛藤はなかったのですか?」

小島「私は普通の倫理観がありますから、関係のない人を殺すのはよくないのではないかと、ちょっとは頭をよぎることはありましたが、裏寝覚(編集部注:長野県木曽郡上松町にある景勝地「寝覚の床」の一角のこと。事件前、自殺を考えた小島は同所にある東屋で餓死を試みている)を出てからは葛藤というほどのものはありません」

検察「犯行前日にホームセンターでナタを買っていますね。道具はどうしてナタだったんですか?」

小島「鞘が欲しかったからです。刃の覆いが欲しかった。バッグに入れやすくするために」

検察「持ち運びに鞘があるといいの?」

小島「何かの衝撃で刃こぼれがあると人を殺せなくなるからです」

検察「買った後は、切れ味を確かめましたか?」

小島「夜の公園で素振りをしました」

検察「ナタで、一撃で死ぬと思ったんですか?」

小島「そうなんです」

検察「隣に座っていたら、子どもでも老人でもよかったんですか?」

小島「はい。人間だったら殺しました。動物だと器物破損になるので、動物じゃなければ殺しました」

 新幹線に動物が単体で乗ることなどあるわけがない。小島は一生懸命喋っているが、二度目の台詞なので検察はスルーしていた。

検察「のぞみ号は、その日の最終便でしたが、その理由はなんですか?」

小島「最終便のほうが、その後の列車の運行に影響を与えないだろうと思いました」

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