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葛城ユキさんは「ロックの女王でありながら、気遣いの女王だった」 夢グループ社長が明かす最後の電話

“ロックの女王”葛城ユキさん(写真/共同通信社)

“ロックの女王”葛城ユキさん(写真/共同通信社)

 この数年、惜しまれつつも“あっぱれ”な人生でこの世を去った有名人たち。その家族や知人が証言する「自分らしい生き様」から学ぶことは多いはずだ──。「葛城さんは最後の瞬間まで“ロックの女王”でした」と明かすのは歌手の葛城ユキさん(享年73)の友人で、夢グループ社長の石田重廣さん。

 2022年6月17日、千葉県柏市民文化会館で開催されたコンサート「夢スター春・秋」。舞台に立った石田さんは観客にこう告げた。

「もしかすると、彼女の命はあと数時間かもしれません。驚くかもしれませんが、これが現在の葛城ユキです」

 すると介護ベッドに寝たままの葛城さんがステージに現われ、力を振り絞り『ローズ』を熱唱。会場には代表曲『ボヘミアン』のメロディーも流れ、観客が割れんばかりの拍手を舞台に送った。

 前年4月、葛城さんは腹膜がんのステージIVを公表していた。

「柏のコンサートは歌える状態ではなかったけど、彼女は酸素マスクをして『社長、私は命がある以上、歌いたい』と訴えた。ステージに上がった彼女は息も絶え絶えながらプロ根性で『ローズ』を歌い上げた。それが最後のステージになりました」(石田さん)

 闘病中、死期を悟った葛城さんは石田さんに「私の家は賃貸で大家さんに迷惑をかけたくないから、死ぬ直前に救急車を呼ぶ。次に住む人のためにも良くないからね」と語っていたという。

 そして旅立つ5時間ほど前、葛城さんは石田さんに電話してこう告げた。

「社長さん、最後に聞いてください。体だけは、健康に気を遣って生きてください」

 石田さんが振り返る。

「自分が亡くなろうという時に人の体を気遣えるなんて、本当に優しい人だと思いました。死の恐怖もあったろうに……。彼女はロックの女王でありながら、気遣いの女王でもありました」

 最後の電話ののち、葛城さんは自宅に救急車を呼んで病院に向かい、そのまま帰らぬ人になった。

※週刊ポスト2023年9月1日号

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