ライフ

うそはうそであると見抜ける人でないとネットを使うのは難しい、と改めて感じた話

香港でのイベント出演時のDJ SODA(Imaginechina/時事通信フォト)

香港でのイベント出演時のDJ SODA(Imaginechina/時事通信フォト)

 何を言うかより、誰が言うかに人は左右されやすいとされている。影響力のある人の言動は、その内容がどんなものであっても信用されやすい。かつてなら政治家が芸能人など、最近はネットでのインフルエンサーによる発信は内容の精度に関わらず信用される傾向がある。インフルエンサーによる言説は、ときに従来の影響力ある人たちの発信に比べてふわふわと根拠が薄くても、勢いよく拡散され、信じる人をつかんでしまうという特徴がある。現代を生きる人たちの生活と思想について記録を続けている俳人で著作家の日野百草氏が恣意的なソース(情報源)提示の問題についてレポートする。

 * * *
 韓国の女性アーティスト、DJ SODAが8月に出演した大阪の音楽フェス『MUSIC CIRCUS’23』で「数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けました」とした問題に関して、賛否それぞれネットを中心とした応酬が続いている。

 セクハラそのものを肯定する者はほとんどないが、それでもDJ SODAにも責がある、とする側は「そういう服を着るのが悪い」「観客に近づいたのは自分」「だったら日本来なくていい」など主張。いっぽう、DJ SODAに責があるとするのは間違っている、とする側は「セクハラした側が100%悪い」、「普通に犯罪」「痴漢大国日本」といった主張で、この論争には著名人の多くも参戦している。イベント主催会社は大阪府警に刑事告発、実際に行為に及んだとする二名が実業家に説得されて出頭したり、アニメ監督が「公開型のつつもたせ」「彼女の芸に加担しないこと」と投稿して炎上したりと、騒動は収まる気配にない。

〈挑発的な服装が被害の一因〉はどこに?

 経緯をひと通り書いたが、本稿でその是非は言及しない。ここで問題とするのは騒動の中、あるインフルエンサー氏が投稿した内容にある。

 彼は「ユタ州立大学の調査」として、

〈22人に1人は、挑発的な服装が被害の一因だそうです。ちなみに殺人だと22%は服装が原因になるそうです〉

 といった引用を投稿した。さらに先の引用リンクにあったと思われる1次資料となるはずのPDFは消失してしまっているが、そのインフルエンサー氏の引用リンク自体は2006年とかなり古いもの、Googleの運営する「Google Answers」と呼ばれる質問サイトにおけるQ&Aだった。

〈Question
I was interested to know if there are statistics out there for rape cases and how the victim and how they were dressed was used against them?〉

 レギュレーション上、センシティブな内容、単語もあるため意訳とするが、質問としては被害者(victim)の着ていた服、つまり服装が被害のきっかけとなったか、影響を与えたかといった内容である。how they were dressedなので、直訳すれば「(被害者である)彼らはどんな服を着ていたのか」といった感じか。ちなみに前置くが何も難しくはない。中学高校で学ぶ内容ばかりの、ごく普通の英文である。

関連記事

トピックス

妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
闇バイトにはさまざまなリスクが…(写真/ゲッティイメージズ)
《警察の仮想身分捜査導入》SNSで闇バイトの求人が減少する一方で増える”怪しげな投稿” 「闇バイト」ではないキーワードが浮上
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
インドのナレンドラ・モディ首相とヨグマタ・相川圭子氏(2023年の国際ヨガデー)
ヨグマタ・相川圭子氏、ニューヨーク国連本部で「国際ヨガデー」に参加 4月のNY国連協会映画祭では高校銃乱射事件の生存者へ“愛の祝福”も
NEWSポストセブン