ガッツ石松

(写真左から)高倉健さん、ガッツ石松、菅原文太さん

政治家目指し、多額の借金を背負う

 自分で映画も撮ったからね。『カンバック』(1990年公開)というボクサーの映画と、自分の信条を反映させた『罪と罰』(2012年公開)というバイオレンス映画。どっちも企画、脚本、監督、主演を務めた。ボクサー出身でこんな人、いないでしょ? やりたいことは全部やってきた。梶芽衣子さんともドラマで共演して良くしてもらったし。だから、芸能界でもやりきったと言える。満足したよ。

 おかげで借金も背負った。映画製作には金がかかったし、政治家を目指して1996年の衆議院議員選挙に出馬したのも大きかった。残念ながら落選してしまって、億単位の借金が残ったんだよ。毎月の返済が300万円。でも、10年で返しきった。芸能活動をがんばってね。CMが大きかったな。1本2000万~3000万円ぐらいになったから。ボクサー時代に芸能活動を始めたときから、自分の事務所を作って運営し、ギャラ交渉も全部やってきた。我ながらたいしたもんだよ。

 ボクシングジムの経営はなぜやらなかったか? やろうと思えばいつでもできると思ったから。最後の砦、というかな。いつかやろうと思って、この事務所もジムにいつでもリフォームできるように考えて作ったんだよ。でも、もうやる気はないね。ボクサーはいろんなタイプがいるから育てるのがすごく難しいし、ジムの運営を任せられるいい番頭やトレーナーが必要だけど、簡単には見つからないから。

 商売はたくさんやってきたんだよ。ボクサー時代からファイトマネーで稼いだ金で喫茶店やスナック、サパークラブ、ラーメン屋……いろいろやってきた。みんなつぶれたけど。人に任せてたから、私は細かいことは言わずに、任せてる人間が「金が足りない」といえばポンと渡して、チェックもしなかったから……。管理ができない。だけど、信じて任せていたのは自分だから、自分が悪い。経営者は向いてないね。

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