多剤を処方されている高齢患者は少なくない
患者サイドの「薬信仰」に加えて、医師側が「薬の交通整理」をできていない実情もある。多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹さんが言う。
「内科、整形外科、耳鼻科など複数の科にかかっている人は多いですが、医師同士の横の連携がないために自分が診ていない科の薬は勝手に減らしづらい。もし4人の医師にかかっていたら、それぞれの医師が『自分の科で出している薬はしっかり薬を管理できている』と思っているのです。
薬の管理責任を明確にできない現状のシステムにも問題がありますが、診察時におくすり手帳を持参して、各科の医師に確認してもらうのが現状における最適解だと考えられます」(大橋さん・以下同)
おくすり手帳を持ち歩くことに加えて心に留めておきたいのは「かかりつけ医」をもつ大切さだ。
「かかりつけ医を見つけて、のんでいる薬をすべて把握してもらえば“交通整理”は可能です。副作用を訴えたらきちんと調べてくれて、何かあればかかっている別の病院と減薬について話し合ってくれる医師が理想です。一方で減薬をうたう病院の中には民間療法で治療しようとするような医師もいる。そうした病院をかかりつけにするのは避けるべきでしょう」
自分がいま「なんのために」「どんな」薬をのんでいるのか。まずはそれを把握すること。そのうえでおくすり手帳を手にかかりつけ医に相談する。減薬の第一歩は、あなた自身が知識をつけて踏み出すことからだ。
※女性セブン2023年10月12・19日号
コレステロール値を下げる薬をのむ人の割合
70代以上の女性の過半数が降圧剤をのんでいる
やめやすい薬・やめづらい薬