西武鉄道によると、東急から譲受される9000系は多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線を、小田急から譲受される8000形は国分寺線で走る予定だという。
ちなみに、東急9000系が走る予定の西武秩父線は吾野駅―西武秩父駅間のことを指し、池袋駅―吾野駅間が西武池袋線となっている。
しかし、池袋駅―吾野駅間や吾野駅―西武秩父駅間だけを走る列車は存在しない。それは運行系統が池袋駅―吾野駅の途中にある飯能駅で分かれているからだ。そのため、「東急9000系は飯能駅―吾野駅間でも運行されるので、池袋線についてリリースに記載されていませんが一応は池袋線も走ります」(同)という。
東急・小田急からの中古車両購入で引退する西武の車両はどこへ?
東急・小田急から譲受される車両があれば、それを機に引退を余儀なくされる車両も出てくる。担当者が説明したように、西武は約100両の中古車両を購入するが、それは既存車両の置き換えを進めることを目的にしている。つまり、西武鉄道が東急・小田急から古い車両を購入すれば、西武の車両は玉突き的に引退することになる。
先述したように、大手私鉄が使っていた車両は地方の中小私鉄が引き取って使うケースが多々ある。西武の場合、滋賀県の米原市・彦根市・東近江市・近江八幡市・甲賀市などに路線網を有する近江鉄道に移籍することが多い。その理由は、近江鉄道は西武が株式100パーセント保有する完全子会社だからだ。
実際、近江鉄道の現役車両はすべて西武から譲渡された車両となっている。それでは西武から引退する車両は、近江鉄道に引き取られるのか?
「東急9000系や小田急8000形の譲受に伴って、弊社の車両が引退することは間違いありません。しかし、今のところ近江鉄道も含めて他社への譲渡予定はありません。このまま廃車にする予定です」(同)
古い車両を新しい車両へと置き換えることでCO2の削減を目指すことは理解できるが、その古い車両をそのまま廃車にすることはリユースの観点からもったいない気もする。古い車両というのは、あくまでも西武社内における話に過ぎない。地方の中小私鉄なら、まだ十分に使用できる車両だ。
家電は1998年に、建設資材は2000年に、自動車は2002年に再資源化を促すための法律が施行されている。そのため、リユース・リデュース・リサイクルの、いわゆる3Rへの取り組みは先行した。
一方、鉄道車両はリサイクルを義務付ける法律が制定されていないこともあり、家電・建設・自動車のリサイクルから遅れを取った。しかし、近年はリサイクルの取り組みが進んでいる。リユースという観点なら、家電や建設資材や自動車よりも早くから取り組まれている。
鉄道は環境負荷の少ない公共交通と言われるが、まだ環境を低減するための余地は残っている。鉄道がもっと環境に優しくなるためにも、さらなる3Rを目指してもらいたい。