「自分を指名してくれるお客さんができた時の琢巳は、とても喜んでいた記憶があります。しかし、お客さんがとの関係が切れてしまった時はとても悲しんでいました。髪色を変えた時も、自分のお客さんからのウケが悪いことを気にしたりと、ホストとしての仕事を自分なりに一生懸命やっていたように思います。ずっと根がとても優しい子でした」
だが、女性客は同ホストクラブに漂う異様な空気を感じていた。
「ホストには指名とヘルプがあるのですが、琢巳はヘルプでテーブルにつくことが多く、その時も彼は私の悩み事を聞いてくれました。『自分もこういう過去があったから気持ちはわかる』と、共感してくれたりと、指名した担当よりも親身になって話を聞いてくれる存在でした」
女性客はホストたちの体にあった“不自然なアザ”を目の当たりにしていた。
「琢巳が日常的に暴行を受けていたという報道がありますが、事実だと思います。ある日、ホストのほぼ全員が突然、首の後ろや腕などに火傷を負って出勤してきた時があり、私が事情を聞いても答えてくれませんでした。あるホストが意識不明になって出勤できないという話を聞き、その後に復帰したホストは、目の下に跡が残るほどの大きな傷痕ができていたのです」
いつしか同ホストクラブから足が遠のいていった女性客だったが、何度か街の路上で新規の客を探していた太田さんの姿が忘れられないという。