池田大作・創価学会名誉会長(時事通信フォト)
2000年当時、「本来投票すべき政党以外に投票するのは制度が形骸化するのではないか」と尋ねた私に野中氏は、創価学会の拡大期である1960年代に入会した一世の会員を念頭に、「もともとは田舎から出てきた人たちで、生まれは自民党支持者と違わない」と説明した。答えにはなっていないのだが、個々の人間、一人一人の国会議員、という政党の下部構造から上部構造を捉えなおす野中氏の視点がうかがえる。
また、野中氏はやはりこの回顧録の中で、公明党との選挙協力体制を構築するに当たって、創価学会本部の幹部と協議を進めていたことを明らかにしている。
竹岡氏のエピソードとも合わせ、自公関係が創価学会を軸としていることを認識させるエピソードだ。
(第3回に続く)
【プロフィール】
柿崎明二(かきざき・めいじ)/1961年、秋田県生まれ。早稲田大第一文学部卒。共同通信社政治部記者、編集委員、論説委員などを歴任。2020年10月から2021年10月まで菅義偉内閣の首相補佐官を務めた。2022年4月より帝京大学法学部教授。著書に『検証 安倍イズム─胎動する新国家主義』(岩波新書)などがある。
※週刊ポスト2023年11月10日号