芸能

柴田理恵「裸足のまま放り出されたり、鳥小屋に閉じ込められたりしました(笑い)」それでも母親の介護を続ける理由

母親について語る柴田理恵(撮影/黒石あみ)

母親について語る柴田理恵さん(撮影/黒石あみ)

 6年前、富山県で一人暮らしをしていた母・須美子さん(94才)が突然の病に倒れて介護を要する状態になって以来、女優の柴田理恵さん(64才)は、離れた場所に暮らしたまま親の生活をサポートする介護、いわゆる「遠距離介護」を現在に至るまで続けている。

 自身の遠距離介護の体験談をまとめた『遠距離介護の幸せなカタチ─要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』(祥伝社)を出版した柴田さんが語った、母との深い親子関係とは。

 * * *
 母は54才までの38年間、富山県で教員をやっていました。私の母世代にしては珍しく、仕事に生きる人でした。母が口酸っぱく言っていた「仕事には誠心誠意向き合いなさい。周りに迷惑をかけないように、人から可愛がられるように、慕われるようにしなさい」という姿勢は、私自身の仕事への向き合い方にもつながっています。

 教員という職業に就きながら、母は破天荒で、まるで台風のような人でした。苦手な食べ物は口を割って食べさせられたり、駄々をこねて泣いたら外に裸足のまま放り出されたり、鶏肉を食べなかったら鳥小屋に閉じ込められたり……この手の話はたくさんあります(笑い)。

 ただ、母のそういった厳しさの根底には愛情がありました。

 いまでも覚えている、忘れられないエピソードがあります。私、お世辞にも運動神経が良いとはいえないのですが、町内の運動会でリレーの選手に選ばれたことがあったんです。ただ、あとから、私より足の速い子に選手を譲ることになりまして。勝つためには、そのほうがいいと思ったから、自分から声をかけたんです。

 その日まで、母は、夕飯を食べた後にバトンの受け渡しの練習に毎日付き合ってくれていました。仕事で疲れていたと思うんですけれど、そんな素振りも一切見せず。リレーの選手を譲ることに迷いはなかったけれど、私のために頑張ってくれていた母に申し訳なくて、母の前で泣いてしまったんですね。

 母は「せっかく練習したのにね」と残念そうにつぶやくと、私をぎゅっと抱きしめて、こう言ったんです。「理恵がしたことは絶対に間違ってない。リレーの練習をしたのも、足の速い子に譲ったのも、全て間違ってない。理恵は良い子だ」って。

 すごく温かい母親だと思いませんか? 私はそのとき、「この人は私を絶対に守ってくれる、私の味方だ」と確信しました。その安心感があるから、どんなに母が破天荒でも、嫌いになることはなかったです。大人になってからは「面白い人だな」と思っています(笑い)。

娘の人生を犠牲にしたくない

 最近、親の子どもへの過干渉が社会問題にもなっていますが、私の家庭の場合はそんなことはなかったですね。母には、進路や就職に関して口を出されたことも、「勉強しろ」「良い大学に入れ」というようなことを言われたことも、一切ありません。

 そんな母でも、私が「役者になります」と打ち明けたときは、さすがに唖然としていました。「教師になるために大学に行きたい」と嘘をついて上京したもんだから、青天の霹靂だったのでしょう(笑い)。心配はされたものの、反対はされませんでした。私が「3年間は好きなことさせてください」と頼むと、「わかった」と。

関連記事

トピックス

あごひげを生やしワイルドな姿の大野智
《近況スクープ》大野智、「両肩にタトゥー」の衝撃姿 嵐再始動への気運高まるなか、示した“アーティストの魂” 
女性セブン
天海のそばにはいつも家族の存在があった
《お兄様の妹に生まれてよかった》天海祐希、2才年上の最愛の兄との別れ 下町らしいチャキチャキした話し方やしぐさは「兄の影響なの」
女性セブン
満を持してアメリカへ(写真/共同通信社)
アメリカ進出のゆりやんレトリィバァ「渡辺直美超えの存在」へ 流暢な英語でボケ倒し、すでに「アメリカナイズされた笑い」への対応万全
週刊ポスト
傷害致死容疑などで逮捕された八木原亜麻容疑者(20)、川村葉音容疑者(20)、(右はインスタグラムより)
【北海道男子大学生死亡】逮捕された交際相手の八木原亜麻容疑者(20)が高校時代に起こしていたトラブル「友達の机を何かで『死ね』って削って…」 被害男性は中学時代の部活先輩
NEWSポストセブン
ライブペインティングでは模様を切り抜いた型紙にスプレーを拭きかけられた佳子さま(2024年10月26日、佐賀県基山町。撮影/JMPA)
佳子さま、今年2回目の佐賀訪問でも弾けた“笑顔の交流” スプレーでのライブペインティングでは「わぁきれい!うまくできました!」 
女性セブン
木曽路が“出禁”処分に(本人のXより)
《胸丸出しショット投稿で出禁処分》「許されることのない不適切な行為」しゃぶしゃぶチェーン店『木曽路』が投稿女性に「来店禁止通告」していた
NEWSポストセブン
東京・渋谷区にある超名門・慶應義塾幼稚舎
《独占スクープ》慶應幼稚舎に激震!現役児童の父が告白「現役教員らが絡んだ金とコネの入学ルート」、“お受験のフィクサー”に2000万円 
女性セブン
傷害致死容疑などで逮捕された八木原亜麻容疑者(20)、川村葉音容疑者(20)(インスタグラムより)
【北海道男子大学生死亡】 「不思議ちゃん」と「高校デビュー」傷害致死事件を首謀した2人の女子大生容疑者はアルバイト先が同じ 仲良く踊る動画もSNS投稿
NEWSポストセブン
佳子さまの耳元で光る藍色のイヤリング
佳子さまが着用した2640円のイヤリングが驚愕の売れ行き「通常の50倍は売れています」 地方公務で地元の名産品を身につける心遣い
週刊ポスト
いわゆる“ガチ恋”だったという千明博行容疑者(写真/時事通信フォト)
《18才ガールズバー店員刺殺》被害者父の悲しみ「娘の写真を一枚も持ってない。いま思い出せるのは最期の顔だけ…」 49才容疑者の同級生は「昔からちょっと危うい感じ」
女性セブン
100キロウォークに向けて入念に準備をする尾畠さん
85歳になった“スーパーボランティア”尾畠春夫さん、「引退宣言」の真相を語る「100歳までは続けたい」と前言撤回の生涯現役宣言
週刊ポスト
騒動があった西岩部屋(Xより)
《西岩親方、19歳力士の両親を独占直撃》「母と祖母が部屋を匿名誹謗中傷」騒動 親方は「幹希の里は覚悟を決めて書いた」と説明
NEWSポストセブン