芸能

6歳からゴジラを見続けている高田文夫氏 最新作『ゴジラ-1.0』を絶賛「柄にもなく少し泣けた」

高田文夫氏が初めてゴジラを目にしたのは1954年の第1作(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏が初めてゴジラを目にしたのは1954年の第1作(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ゴジラについて綴る。

 * * *
 しみじみ思う。「桜と富士山とゴジラが好きなのを日本人という」。なかなか奥深い金言だが、今回私がふとつぶやいた言葉である。文字通り破壊的な面白さをみせた『ゴジラ-1.0』。

 初めてゴジラを目撃したのは1954年の第1作。私が6歳の時である。あれから一体何十本というゴジラ映画が作られたのか。若き日はゴジラ博士(と、までは言われていない)と呼ばれ、ほとんどのゴジラを見て来たつもりだが、今作は大傑作だった1本目を超えそうな名作に仕上がった。何しろゴジラが現われるのが第1作より前、終戦前後というのが深く考えさせる。ゴジラに負けない神技といえる神木隆之介の名演。特攻隊の生き残りである。終戦を迎えられない神木の心情、そこへゴジラが。日本を守るとは、子供達に未来を。第1作のラスト、ゴジラが死滅したかに思えた時、志村喬の山根博士がつぶやく。「あのゴジラが最後の1匹とは思えない」。ゴジラは不滅であるという製作陣の思いがここにある。

 誕生から70年、最新作までその遺伝子は残り、あの分ではまだまだ未来へとつながっていきそうだ。怖いんだけど好き、それがゴジラだ。

 この名前だって元々はゴリラとクジラの合成語だから。なつかしく想い出してもみて下さい。「アンギラス」1955年、ゴジラと最初に戦った怪獣ですよ。「キングギドラ」1964年の地球最大の決戦に登場しました。「ラドン」1956年。ゴジラの次に主役をつとめた本数が多い。「ミニラ」ゴジラの息子。いつもいじめにあっていた。「メカゴジラ」1974年。出現時はゴジラの姿を偽装していた。「モスラ」1961年、インファント島に棲息する怪獣。この島にいる双子の妖精はザ・ピーナッツ。“モスラ~やモスラ~”と思わず歌ったのは60歳以上でしょう。

 それにしても今作、なぜか魂をゆさぶられラスト近くには柄にもなく少し泣けてきた。ゴジラも神木も壊されてゆく銀座の街並もすべてみごとだった。私にとってこの映画は「ゴジラ+10.0」だ。

 当誌でもおなじみ、春日太一がひょっとしたらゴジラよりも強敵と思える戦後最大の脚本家橋本忍に挑んでいったとんでもない決定版(480ページもある)『鬼の筆』を上梓した。100歳まで生きた巨人である。『羅生門』『生きる』『七人の侍』『私は貝になりたい』『切腹』『張込み』『砂の器』『八甲田山』『八つ墓村』、まだまだたくさんの脚本があってほとんどがベスト1。12年もかけて書いた春日もまた鬼の筆である。

※週刊ポスト2023年12月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン