国内

【2024年政局展望】屋山太郎氏×田原総一朗氏 岸田政権が迎える3月のけじめ、予算を仕上げて内閣総辞職あるか

ジャーナリストの田原総一朗氏(左)と政治ウォッチャー屋山太郎氏が2024年の政局を展望

ジャーナリストの田原総一朗氏(左)と政治ウォッチャー屋山太郎氏が2024年の政局を展望

 東京地検特捜部による自民党最大派閥・安倍派の裏金事件捜査が大詰めを迎えている。これまで数々の政権崩壊の舞台裏を見てきた2人のレジェンド政治ウォッチャー、屋山太郎氏とジャーナリスト、田原総一朗氏が政局激動を展望する。【全3回の第1回】

田原:最大派閥の安倍派がダメになれば、総理大臣もダメになる。岸田内閣は土壇場まできた。

屋山:政界再編になると思ったね。政治の土台を変えないといけない。

田原:今回の裏金事件の構図を言うと、ノルマを超えて派閥のパーティー券を売ると、超過分が議員にキックバックされて裏金になっていた。では、議員はそのカネをどう使ったのか。いろんな政治家に配るわけよ。選挙の時なら、応援してくれる地方議員とか。相手によって金額が違うし、渡さない相手もいるから表に出すわけにはいかない。だから裏金が必要になる。

屋山:政治家がそんな風にお金を払う、政治にカネがかかるという前提でいるから、国民は怒る。国際常識から見て、もうやめりゃいいんだ。

田原:そうしたら日本の政治は成り立たない。

予算成立後が“その時”

屋山:リクルート事件の時に、もっと政治家のカネのやり取りを厳密に規制して透明化する議論があったが、結局、ウヤムヤになってしまった。あれが失敗だった。リクルート事件の後、不透明なカネのやり取りはどんどん金額が膨れあがって、河井克行夫妻の選挙買収事件で地方議員らに配られたのは総額1億5000万円にのぼった。

田原:それにしても今回の裏金問題では、安倍派の大臣、副大臣、党幹部が全部辞任した。これは政権が倒れるくらいの重大問題。だが、今の野党は、政権奪取するつもりがまったくないから、支持率が下がっても、秋の総裁選まで岸田政権がダラダラ続き、自民党も一緒に沈んでいくということになるのでは。

屋山:国民の頭の中ではもう岸田政権は潰れている。支持率は下がる一方で、減税だ、少子化対策だと世論を引きつけようと手を打っているが、世論は反応しない。岸田には解散・総選挙を打つ力も残っていない。そうなると退陣が想定されるが、自民党の政権維持を考えれば、早期が望ましい。3月がそのタイミングとなるだろう。9月の総裁選を待って新総裁を選ぶなんてふざけたことができる状況ではない。

田原:3月は早いのではないか。

屋山:3月というのは、一つには予算を仕上げる責任を果たす必要があるということ。また、検察も今回のパーティー券の捜査は早期に決着させたいだろう。もたもた捜査するのではなく、急ぎ2~3人の政治家を起訴して仕上げたい。だから3月までには何らかの形で決着する。岸田は、安倍派の問題であるかのような態度だが、これは自民党の問題であり、逮捕者が出れば、総理・総裁の責任論につながり、内閣総辞職に追い込まれるわけだ。それを見越して自民党内で岸田おろしが始まると見るべきだろう。(文中敬称略)

第2回に続く

【プロフィール】
屋山太郎(ややま・たろう)/1932年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業後、時事通信社に入社し政治部へ。ローマ特派員、ジュネーブ特派員、首相官邸キャップ、編集委員兼解説委員等を歴任。現在、日本戦略研究フォーラム会長。『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(ともに海竜社)など著書多数。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て、1977年、フリージャーナリストに。『日本の政治 田中角栄・角栄以後』(講談社)、『さらば総理 歴代宰相通信簿』(朝日新聞出版)など著書多数。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連記事

トピックス

三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
元横綱・白鵬の宮城野親方に相撲協会はどう動くか(八角理事長/時事通信フォト)
八角理事長体制の相撲協会に「70歳定年制」導入の動き 年寄名跡は「105」しかないため人件費増にはならない特殊事情 一方で現役力士が協会に残ることが困難になる懸念も
NEWSポストセブン
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
NEWSポストセブン