脱毛サロンへの投資呼びかけ
結局、トラブルが続出し、経営者は客も従業員もそのままで逃げ出したのだ。また、都内在住のコンサルタント会社経営・鈴木俊彦さん(仮名・40代)は「脱毛サロン」への投資が積極的に呼びかけられていた時期があった、と振り返る。
「医療的な免許や資格がいらない範囲でだけ施術する脱毛サロンは儲かる、ということで、怪しげな個人コンサルなどが出資家から金を集めていました。ちょうどコロナ前頃ですね。そうやってオープンしたサロンは、とにかく宣伝広告が派手で、中には、有名な海外製の脱毛器の偽物まで用意して、顧客から金をだまし取るような店もありました。最近では”医療脱毛”などと呼ばれる業態も登場し、一般的な脱毛サロンは差別化をはかることもできず、どんどん経営状況が悪くなっている。もちろん、施術がいい加減とか中途半端である例も非常に多い。インフルエンサーへのステマありきで客集めをする店も相次いでいますが、カネが集まったら飛んで(夜逃げ)しまうのではと噂される店はたくさんあります」(鈴木さん)
そもそも脱毛という言葉が指す施術は、範囲が広い。医師免許を持つ医師もしくはその管理のもとで看護師が行うものを医療脱毛、それ以外のものは俗に美容脱毛と呼ばれている。鈴木さんが言う「一般的な脱毛サロン」は、医師が関わらない、どちらかというとエステティックサロンに近い存在だ。医師による施術に比べて脱毛の効果は弱いと言わざるをえず、差別化をはかるには目立つのが手っ取り早いと、宣伝に力を入れる運営者が多い。そのぶん、本業であるはずの施術のクオリティが犠牲にされることがある。
実際、国民生活センターのHPにも、消費者から寄せられた脱毛関連のトラブル事例がたくさん掲載されている。特に、脱毛などを含めた美容関連サービスは、購入を決めるときの判断が、広告や口コミに左右されやすい。自然発生した口コミだと信じて、その評判を頼りにサロンを選んだら、本当は事業者側が多額の費用をかけて「作った」口コミで実態と違っていた、サロンがなくなり施術がうけられなくなったなどのケースが後を絶たない。被害に遭わないためには、消費者側の見極める力をより高めるしか方法がないが、そのハードルは日に日に上がっているように思えてならない。