消費者庁が虚偽広告で副業の勧誘をして金を支払わせたと2022年に公表し注意を呼びかけたた会社の勧誘サイト。短期間の作業で簡単に収入が得られるとうたっている(時事通信フォト)

消費者庁が虚偽広告で副業の勧誘をして金を支払わせたと2022年に公表し注意を呼びかけたた会社の勧誘サイト。短期間の作業で簡単に収入が得られるとうたっている(時事通信フォト)

 こう疑問を訴えるのは、都内在住の団体職員・金田俊樹さん(仮名・40代)。昨年、会社員の妻が始めたという「副業」は、キーホルダーやピアスなどのアクセサリー製作だった。最初こそ、妻が楽しそうに取り組み、それでお金も稼げるのならと応援する立場だったという。しかし”今月はSNS経由で10個も売れた”と喜ぶ妻を尻目に、金田さんは強烈な違和感を覚えたとこぼす。

「1個1500円で販売しているアクセの原価は800円ほどで、一つ作るのに2時間ほどかかっています。販売サイトに載せる為に写真を撮影したり、説明文を考えたり、送料だって数百円かかるし、包装代も含めると、儲けはかなり微々たるものです。休みの日はほぼ副業に充てられ、家族の時間も減りました。副業するって、本当にこういうことなのかと思わずにはいられない」(金田さん)

 妻にとっては「趣味の延長で、しかも利益が出る」ということだろうが、この話には実は前段もあるという。

「アクセ作りを始めたきっかけは、妻がSNSでアクセ作りの講師に勧められたからで、まず全10回ほどの講習を受けています。これに10万ほどかかっている。さらに、月に一回以上開催される有料のワークショップにも顔を出さないと”流行のデザインについていけなくなる”といい、収支は良くてゼロ。おそらくマイナスのはずなんです」(金田さん)

 充実感に溢れ、気分良くしている妻の手前、金田さんが直接指摘することはないものの「副業の名の下に騙されているのではないか」と感じているという。

副業の斡旋サイトに登録したけれど

 騙されている、とまで言い切るのは微妙なケースが多いなか、他の事例をあたっていくと、副業ブームに乗っかった詐欺が疑われる事例も多く発生しており、被害者が続出していることが分かる。福岡県在住のパート従業員・松尾恭子さん(仮名・40代)が打ち明ける。

「副業がブームだとテレビや週刊誌で見て、早速ネットで検索しました。元々は専業主婦で、パートを始めたのが10年ほど前ですが、パート代だけでは十分ではなく、最近はこういう働き方があるのかと感心してしまったんです」(松尾さん)

 松尾さんがネットで見つけたのは、登録しておけば様々な副業が紹介されるという、いわば斡旋サイトのようなものだった。筆者もそのページを確認したが、ところどころに「すきま時間の有効活用」「誰でも簡単に」、そして「スマホ一台で」などといった文言は踊っているが、実際にどんな仕事をして利益を生み出すのか、ハッキリ明示されていなかった。登録直後、サイト側から送られてきた仕事の内容は、松尾さんには理解できないものばかりだったという。

「初心者でも確実に儲かるということで最初に紹介された仕事は、ウェブサイトを自分で立ち上げ、そこに記事を書くというものでした。恥ずかしながら、スマホの操作もよくわからないレベルで、広告収入が発生するとも説明されましたが、全く理解できない。でも、担当者からのレクチャーもフォローもあると言われ安心しました。ただ、そのレクチャーを受けるには、30万円もする教材が必要だというのです。手に職をつけたい一心で、へそくりと貯金の一部を払い込んでしまいました」(松尾さん)

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