ビジネス

副業ブームの現実 「趣味の延長」「すき間時間」「誰でもできます」は裏切られる

会社員を続けながら「副業」でも稼ぐ(イメージ)

会社員を続けながら「副業」でも稼ぐ(イメージ)

「働き方改革実行計画」(2017年決定)によれば、「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である」とある。その言葉を実現すべく、政府は企業勤めの正社員に対しても、もうひとつ仕事をしましょうとすすめ、企業側にも受け入れ環境を整備するよう呼びかけている。その影響もあって副業ブームと呼んでもよいくらい世間の関心は高いが、実際にチャレンジしている市井の人々の多くは、まったく利益が出ないとこぼすことが多い。ライターの宮添優氏が、副業推奨と一般市民の現実についてレポートする。

 * * *
 最近、あちこちで「副業」の二文字を見るようになった。政府が働き方改革の一環として推奨しているとはいえ、そもそも企業にとっては好ましくないはずだ。理由はいくらでもあって、本業への影響が出るのではないかとか、はたまた社員がライバル社の仕事をしているんじゃないか、副業の方が割が良く、そのまま転職されてしまうなどの懸念もあったはずだ。大手紙経済部記者も、次のように断言する。

「企業が社員の”副業OK”を続々打ち出し、副業斡旋の専門サイトも林立するほど、空前の”副業ブーム”であることは間違いない。実際に有名企業社員が、週5日勤務を4日に減らし、空いた1日で別の仕事をやっている、という例は確かにある」(大手紙経済部記者)

 大手紙記者が取材した複数の大手企業の担当者によれば、副業の解禁・推進を行う企業側、そして行政側の狙いとしては、人材不足が叫ばれる中で、労働力をうまく分散させて効率よく利益を生み出したい、という思惑があるという。一方で、実情は次のようなことではないかとも声をひそめる。

「企業側が社員ひとりひとりに支払う給与を圧縮させる、という裏の目的もあったはずです。本来なら副業せずとも生活ができるのならそれに越したことはないですから。ただ、喧伝されているほど、副業をしている人は多くない印象です」(大手紙経済部記者)

 確かに、筆者の周囲で「副業」をしている人は、本業である専門分野の範疇内で行っている方ばかりだ。そのうえで、より多く稼ぎたいとか、複数の働き口を確保しておきたいといった理由を口にする。だが、中には「副業ブーム」の雰囲気に飲まれ、流された結果に「なんとなく副業」してしまい、悲惨な目に遭っている人も少なくないようだ。

楽しそうに取り組み、それでお金も稼げるのならと応援していた

「1500円の商品が売れたと喜ぶ妻でしたが、あれだけ手間暇、そしてカネまでかけておいて、それは本当に副業なのかと……」

関連記事

トピックス

『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン