国際情報

台湾総統選に仕掛けられた中国の“選挙工作” ディープフェイク動画流出、接待ツアーによる協力者買収にも関与か

中国の“選挙工作”は台湾総統選にも?(習近平氏/時事通信フォト)

中国の“選挙工作”は台湾総統選にも?(習近平氏/時事通信フォト)

 主要3政党が争った台湾の総統選は、与党・民進党の頼清徳氏が当選を決めた。その趨勢とともに注目されたのが、選挙結果に影響を及ぼそうとする中国の“工作活動”だ。ルポライターの安田峰俊氏が、現地取材でその実態に迫った。

 * * *
 1月13日、台湾の未来を決める総統選と、国会選挙に当たる立法院選が行なわれた。総統選は終始、台湾意識が強い与党・民進党の頼清徳候補の優勢で進んだ。

 選挙は国際的注目を集め、200社以上の海外メディアが取材。日本はもちろん、チェコやコロンビアの記者まで訪台するという異例の事態だ。

「今回の選挙に世界の関心が高いのは、中国の選挙介入が注目されているためだ」

 台湾の淡江大学国際事務・戦略研究所助教で、中国人民解放軍を研究する林穎佑は話す。

 今年は台湾のほか、韓国・インド・ロシア、衆院解散があり得る日本など、各国で国政選挙が続く。11月にはその締めくくりとして、アメリカ大統領選が控える。

「今年最初の選挙である台湾総統選は、秋のアメリカ大統領選に対する中国の介入を考える上で最適なサンプルだ」

 中国は台湾を虎視眈々と狙っている。ゆえに彼らは「台湾独立派」とみなす民進党を攻撃し、中国との融和を唱える野党・国民党などの支持拡大を狙う各種の工作を実行し続けている。

「中国の主要な工作手法はふたつ。統一戦線工作(通称・統戦、協力者の獲得)と、ディスインフォメーション(誤情報の流布)です」

 政府関係者と協力して中国の工作をリサーチする、アナリストのハーパー・コは話す。前回(2020年)の総統選と比べ、中国による「統戦」は強まっているという。

「地域に影響力を持つ里村長(町内会長)などを個別に中国に招待し、その親族らのビジネスを支援するなどの取り込みが目立っています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン