居酒屋の大将が休日にこっそり飲みにくる
常連客で賑わう店だが、新しい客も大歓迎だ。
通い始めて2年という新参の酔客(70代)は「やっぱりな、ここは、人がごっついええねん。店主やろ、奥さんやろ、お客さんやろ。こんな楽に飲めるとこないもん。今もう、ないで。大事にしたいねん」と語る。神戸の酒場を右から左に流浪した先に、ついに、”丸丹”に出会ってしまったのだそう。「格別やぞ」(前出の70代)。
お隣、明石の町から、自分の店が休みのときにわざわざ飲みに来るという大将(70代)もいた。
飲み屋の大将が休みの日に飲む店? 「そやねん、自分、店をやっとって、なんで休みの日にここで飲むてか?はははは。それはやな、嫌な思いを何一つせえへんとわかっとるから、足が向くねん。人がええからよ。(しみじみと)店をやっとるからようわかるねん。人が人を呼ぶねん」
なんていう話をしていたら、またヤジ。「いらんやつばっかし長生きしとうから、こうして残って飲みよるんやないかいっ!!」。すぐさま「そらそうやわ」と合いの手。店はまぜっかえされて、一気に笑いに包まれた。昭子さんも楽しそうに笑っている。
口は悪いが仲がいい客らの手には、焼酎ハイボール。長い西日から、暮れ始めたころ、「こんばんは~」ガラッと戸が開いて、またひとり、客が増えた。
「俺は、いつも海岸を散歩してから来るねん。この店ではいっつもこれ。キリッとして夕焼けに似合う酒や」(70代)
■丸丹酒店
【住所】兵庫県神戸市須磨区天神町3-4-24
【電話】078-731-1604
【営業時間】月~土9~20時 日曜定休
焼酎ハイボール180円、ビール大びん430円、お豆腐160円、たこ焼き160円