竹村氏は山田孝之氏を「ホントに笑いながら人を殺せたり、真顔でうんこを漏らしたりできちゃいそうな人」と評する
「普段から全員演技してんじゃん」
『山田孝之の東京都北区赤羽』の登場人物の多くは赤羽の住民たち。素人の人たちとスター俳優である山田孝之が共演しているというだけでも異質な光景だ。
「山田くんは『普段から(一般の人も)全員演技してんじゃん』ってよく言うんですよ。生きている上で全員何かしらの役柄を演じているんだから、別に上手下手は関係ない。そう座長(山田孝之)が言っているんで大丈夫だろうと(笑)。
僕らの中で、“ちゃんとしてどうする?”みたいなマインドがあるんですよ。成立してないのが面白いじゃんという気概が全員どこかにありましたね」(竹村)
「人間ってカメラを構えると少し演じるんですよね。通常のドキュメンタリーでもそうでカメラを意識してスイッチが入る。だから、赤羽の人たちもカメラがあって、そこに山田孝之がいるという非日常的な状況は理解しているので、語弊はあるけど、勝手に演じてくれていたところはあったと思いますね。それで彼らをちょっと刺激すると、途中から境界線がわからなくなって急に本気で怒り出したり、変な言動をしてくれる。それがやっぱりすごく面白かったですね。
あと、撮ってみて思ったのは山田くんの凄さ。赤羽の人たちの無意識を引き出すのがうまいんだよね。山田くんといるとワニダさんというタイ人の女性がうっとりしているし、一緒に買い物していると女の子っぽくなってかわいい。彼の独特の緊張感とオーラでみんなスイッチが入って勝手に動いてくれる。だから『赤羽』は本当にドキュメンタリーに近いと思いますね」(山下)
2人は『東京都北区赤羽』以降も山田孝之と共に作品を何本も作っていくが、いまだに彼の本性は“謎”だと口を揃える。
「ホントに笑いながら人を殺せたり、真顔でうんこを漏らしたりできちゃいそうな人なんで、どこまでが本当でどこからが嘘かわからないようなフェイクドキュメンタリーが似合う人ですね」(竹村)
「掴みどころがないミステリアスな人ですよね。ストイックで心を閉ざすような部分があるかと思えば、ある瞬間、急に子供みたいになったりする。不思議な魅力がある人だなって思います」(山下)