ふと思ったのですが、三重交通のキャラに文句を付けてきた人たちと、電車やバスで泣いている赤ん坊がいると「黙らせろ!」と怒鳴ってくるおじさんには、いくつかの共通点があります。箇条書きにしてみましょう。
●片や公益性が高い企業、片や幼い子どもを抱えた母親と、歯向かってこないであろう弱い相手を選んで強気に出ている(リアルではなく顔が見えないネット上で強気に出ているという点で、キャラに文句を付けている人たちのほうが、より卑怯ですね)。
●要は気に食わないから怒っているだけなのに、自分の中で「公共交通を担う企業のキャラにふさわしくないから」「公共の場所で大きな声を出すのは迷惑だから」と、もっともらしい理由付けをして正義の味方気分を味わっている。
●イケメンキャラには文句を付けないけど、美少女キャラは目の敵にする。バスの中で強面のラッパーが大声で歌っても、きっとおじさんは何も言わない。見事なまでのダブルスタンダードなのに、それを恥ずかしいとは思っていない。
ほかにも、頭に血が上ると周囲の冷たい視線が見えなくなるとか、予想外の反撃が返ってくるとシュンとなるあたりも似てますね。
というわけなので、今後ネット上でこの手のイチャモンを見かけたら、「ああ、電車やバスで赤ちゃん連れの母親に怒鳴っているダメなおじさんと同じだな」と思うことにしましょう。イチャモンを付けている当人が、「自分はその手のおじさんと同じかも」と自覚してくれたらいいんですけど、自覚できるぐらいなら最初からやりませんね。
三重交通の公式HPより
今回の対応にあまりに感動したので、予定通り進めると決めた経緯や今回のキャラを通じて利用者に何を感じてほしいのかなど、三重交通にメールで聞いてみました。デリケートな問題だけにスルーも覚悟していましたが、なんと半日後に広報課の方からお返事が。「弊社からお答えできる範囲内でのご回答になりますのでご了承ください」という前置きに続いて、以下の回答をいただきました。
「キャラクター発表後多くの皆様に注目いただいたことに驚きましたが、キャンペーンは予定通りと考えております。
今回三重交通グループ創立80周年を機に弊社の運転士をモチーフにしたキャラクターを制作しました。バス運転士という職業により親しみを持っていただければ幸いです」
あえて当たり障りのない回答に徹しているところに、騒ぎになったことへのウンザリ感が漂っている気がするのは、深読みし過ぎでしょうか。深読みし過ぎですね。「多くの皆様に注目いただいたことに驚きましたが」のあたりに、どうでもいい批判なんて相手にする気はないという強い決意と老舗企業の貫禄が感じられます。
キャラクターの名前募集は2月末まで実施中。同社HPの専用サイトから誰でも応募できます。採用されると賞金5万円。ふるって応募しましょう。
いっそのこと男性キャラは「キリキリキリ男」、女性キャラは「くねくねくね子」みたいな名前にすれば、イチャモンを付けてきた人たちへの皮肉になるかも。まあ、そんな攻めすぎた名前になる可能性はないし、そこまで相手してあげる必要もないですね。