こうした「お断り」の氾濫は、くだらないクレームを付けてくる輩が世の中にたくさんいることを示しています。一部のクレーマーに向けた「お断り」をされると、クレーマー気質以外の大多数の人は、バカにされているように感じるかもしれません。あれこれ書いてきて何ですけど、面倒なクレーマーに困ってやっていることなので、目障りだからやめてほしいと言うのも気の毒です。
やめてほしいと言ったら、遠からず「このメッセージは特別な感性を持った一部のお客様に向けてのものであり、大多数の常識的なお客様に向けたものではありません。気分を害されたとしたらお詫び申し上げます」といった「お断り」が増えることになるでしょう。
テレビのテロップにせよ、日常生活で見かける「お断り」にせよ、せっかくなら反面教師にしてしまうのがオススメ。トホホなクレーマーは、けっして他人ごとではありません。誰しも弱っているときは、どうでもいいイチャモンを付けたい誘惑にかられます。
「スタッフがおいしくいただきました」というテロップを見たら、「正論をタテにケチをつけて悦に入る愚かさ」をあらためて確認しましょう。「効果には個人差が~」を見て「言われなくてもわかってる」と言いたくなったら、客だからといってメーカーや店に無理難題を要求する人になってしまう恐ろしさや悲しさに思いを馳せたいものです。
「このトイレは従業員も~」のプレートも、その行間から伝わってくる「こっちは客だという思い上がりを持ってはいけない」という教えを受け止めたいところ。電車内の「水分補給をすることが~」から聞こえてくる悲痛な叫びは、人は何かの拍子に当たり前の想像力や思いやりを忘れることがあるという事実を突き付けてくれます。
そして、たくさんの「お断り」に触れているうちに、それぞれの小さな声が集まって「このギスギスした世知辛い世の中をどうにかして~!」と切実に訴えているように思えてくるでしょう。期待に応えるべく、自分にできることをやっていきたいものです。
※この記事には、何でもかんでもクレームを付けたがる人に対する失礼な言い回しが含まれていますが、あくまで個人の見解です。