記者会見する日本腎臓学会の南学正臣理事長(右から2人目)と厚生労働省職員(時事通信フォト)
1年以上、成分の「有効性」だけが記載される状況
その後、データベースを公開する国立健康・栄養研究所に確認すると、2023年3月以降、「安全性」情報が削除されたことがわかった。それから1年以上、データベースでは成分の「有効性」だけが記載される状態が続く。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。
「公的な研究機関が健康食品の有効性だけを知らせるのでは、単なる“宣伝”でしかありません」
米国では保健福祉省(日本の厚労省に当たる)に属する世界最大の医学研究機関・NIH(米国国立衛生研究所)が健康食品の有効性や安全性に関する情報を整理し、ホームページで公開。検索すれば誰でも無料で閲覧できる。米国在住の内科医・大西睦子氏が言う。
「サプリ大国の米国ではサプリが原因と考えられる有害事象などの情報がNIHによりオープンにされており、その点は日本と大きく異なります」
大西医師が続ける。
「サプリを食事同様に捉え、飲んでいることを主治医に伝えない人が多いと思いますが、それは安易な考え。腎機能が低下する高齢者ほど、薬との飲み合わせを含めて予期せぬ症状が出るリスクが高まります。だからこそ、安全性については国が管理して保証する必要があると考えます」
2015年に導入された機能性表示食品制度によってサプリ市場は1兆円市場に拡大した。だからこそ、厚労省が“効果”ばかりを宣伝し、「リスク情報」を消費者に閉ざしている現状は、一刻も早く改善する必要がある。
※週刊ポスト2024年4月26日号