中でも「内科」「小児科」の両方を掲げている場合は注意すべき。
「内科と小児科では必要とされる知識がまったく異なります。小児科の専門医では、成人の高血圧や糖尿病を診るのは難しく、その逆も問題が起こりうる。
一方で、1番目が『内科』、2番目に『呼吸器科』『アレルギー科』『糖尿病科』のいずれかを掲げているクリニックは安心できる。どれも一般内科に属する専門科なので、“内科一般の研さんを積んだうえで、糖尿病に特化して勉強した”と推察できます」
ネット上の口コミはお金を払って評価を上げられるので、うのみにしないこと。そもそも患者全員が口コミを投稿するわけではないので、評価に偏りがある。
「人が多く集まり、一部で高い評判があるからといって、あなたにとっていい医療機関とは限りません。自分の目で見極めてほしい」
室井さんは院内の様子を確認した方がいいとアドバイスする。
「待合室に古い雑誌が置きっぱなしになっていたり、トイレが汚かったりするのはマイナス。クリニックの衛生感覚を反映していると考えていい」
長くお世話になるからこそ、心地よく治療を受けられるかどうかも見極めたい。会社員のAさん(40才)は生理不順で通ったクリニックが、あまりに劣悪だったと振り返る。
「婦人科というデリケートな病気の人が通う場所でありながら配慮がなく、毎回、強いストレスを感じました。内診の途中、医師が看護師に呼ばれたら足を広げたままの格好で放置されるし、診察室の声が待合室にも丸聞こえ。
別のクリニックに替えたところ、診察室の防音対策がなされていて、男性の付き添い者には専用の待合室もあり、驚きました。以後、かかりつけ医としてお世話になっています」
清潔感や居心地のよさに加え、ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんは、「身近なクリニックに求められるのは適度なバランス」だと指摘する。
「まだ病気の原因が特定できていないときにかかることが多いため、専門性よりも幅広い知識を持っているところがいい。医師が個人の信念を押し付けて、臨機応変に対応してくれないところは、いいクリニックとはいえません」(土山さん)
人気のない病院は入院させようとする
一方、専門的な治療が必要なときは、総合病院や大学病院のような大きな病院にかかることになる。その際はまず、医師よりも看護師などの医療スタッフに目を向けるべしと専門家たちは声を揃える。
実際、病棟のスタッフの対応が患者の容体に大きな影響を与えることもある。神奈川県在住のBさん(51才)が言う。
「昨年、77才の母が膝の手術のために2週間入院しましたが、コロナの影響で家族であっても面会は不可でした。整形外科が有名という理由で選んだ病院ですが、退院時に母を迎えに行くと認知症のような状態になっていて、会話もままならない。
慌てて高齢者専門の病院を受診させたら回復しましたが、入院中にスタッフとほぼ会話や交流がなく、人と話さなかったのが原因ではないかとのこと。ぞっとしました」